はびこる排外主義と「真の愛国者」
2016年04月28日
大槻慎二「誤解に満ちた〈沖縄の神話〉と反沖縄の土壌――本土の人間は沖縄の何を見てきたのか」(WEBRONZA)
その熱気に心を動かされた。4月10日、東京都阿佐ヶ谷のライブハウス。こわもてで屈強な男性らが並び「組長」がこう宣言した。
「人種差別、排外主義を許さない。われわれこそが真の愛国者だ」
ヘイト行動の現場に駆け付け対抗する「超圧力/反レイシズム戦線 武闘派 男組」の再結成イベントの様子だ。
これまでメンバーが「暴力行為等処罰に関する法律違反」で大阪府警に逮捕されたこともあったが、今後は国会の場で政治の「ツール」も使うなどして「非暴力」を貫くという。昨年(2015年)3月に解散した後、再結成したのは若者集団SEALDs(シールズ)がヘイト行動の標的にされ始めているからだと表明した。
沖縄県名護市辺野古で米軍基地建設に反対する市民に対して、座り込むためのテントが壊されたり、デモや集会で罵声を浴びたりしている。男組は、沖縄の人々を守ることも宣言した。
ヘイト行動によって最も傷つくのは攻撃された集団の子どもたちだろう。京都朝鮮学校襲撃事件は衝撃だった。
男組の活動の大きな動機の一つは、子どもたちや若者を守ることにあるという。
人種主義や排外主義は、世界の先進諸国で広がりつつある。米大統領選の候補者が排外主義的な発言を連発し、物議を醸している。決して戦前の話ではなく、私たちの現在の問題として立ち現れている。
その現実にかねて危機感を抱いていたのだが、まさか自分が標的にされるとは思っていなかった。
有料会員の方はログインページに進み、デジタル版のIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞社の言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください