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[3]子どもたちの5人に1人が学校に行かない…

伊藤千尋 国際ジャーナリスト

 ミャンマーでは義務教育の制度はあるものの、過去の軍事政権は教育より軍事を優先し、学校を充分に用意しなかった。国の制度の不備に加えて、貧しさのため学校に通えない子も多い。ヤンゴンの街を歩いていると観光客に絵葉書を売ろうとする子どもたちが群がってくる。

 新政権を握った国民民主党(NLD)報道担当のラーミン氏が将来を見据えて教育の必要性を強調した。

 そのさい彼は「これまで僧院教育に頼っていたのを改めなければならない」と語った。

ジェタウン僧院教育センターでは女生徒が歓迎の言葉を述べてくれた=バガンでジェタウン僧院教育センターでは女生徒が歓迎の言葉を述べてくれた=バガンで 撮影・筆者
 僧院教育とは僧が住む僧院が学校となったもので、日本で言う寺子屋である。日本の寺子屋の起源は中世にお寺で行われた教育だと言われるが、ミャンマーでは文字通りの寺子屋が今も活躍している。

 ミャンマーの中部にバガンという古都がある。11世紀から13世紀にかけて栄えたバガン王朝の首都だった地で、日本で言えば京都にあたる。

 悠々と流れるイラワジ河沿いに約3000もの古いレンガ造りの寺院やパゴダ(仏塔)が当時のまま林立している。カンボジアのアンコールワットやインドネシアのボロブドールと並び、世界三大仏教遺跡の一つと言われる。

僧院で学ぶ生徒たち

 この町にあるジェタウン僧院教育センターを訪ねた。

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