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[4]耕作地の8割以上! 世界に名高い有機農業

伊藤千尋 フリー・ジャーナリスト

やむを得ない事情で広がった有機農業

 ハバナの街のあちこちに家庭菜園のようなものを見かける。道路ぎわの空き地をブロックで仕切って作った小さな畑も目につく。キューバの食糧事情がよくなった背景には、こうした市民レベルでの農業の広がりがある。それも無農薬の有機農業だ。

 今やキューバの有機農業は世界に名高い。有機農業では世界の先進国と言われるまでになった。

ララさんの農園で育った有機農業の野菜=ハバナで拡大ララさんの農園で育った有機農業の野菜=ハバナで 撮影・筆者
 キューバの農業といえば、かつてはサトウキビと果物を指した。しかし、サトウキビは大農園で栽培し、収穫期に季節労働者が刈る。日本でイメージされる田畑を耕す農業とは違う。水田は少なく、ビタミンは野菜でなく主に果物から採っていた。

 それが変化したのは政治的な理由だ。ソ連・東欧の社会主義の崩壊である。

 1989年にベルリンの壁が崩壊し東欧の社会主義政権が次々に倒れた。1991年にはソ連が崩壊した。ソ連・東欧からキューバへの援助や輸入の食糧が入らなくなった。このため食糧の自給が急務になった。

 人々は自宅の庭で小さな菜園を営むようになった。化学肥料も手に入らなくなったので有機農業が広がった。政府が人々に有機農業の技術を教えた。最初はやむを得ない事情だったのだ。

 その後、農業の自営が奨励されるようになり、公務員をやめて農民になる人が増えた。今やキューバ全土の耕作地の8割以上が無農薬の農業をしている。

駐在大使館から栽培の依頼も

 首都ハバナの住宅地アタベイ地区に模範的な有機農園がある。新潟県出身の日本人が ・・・ログインして読む
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筆者

伊藤千尋

伊藤千尋(いとう・ちひろ) フリー・ジャーナリスト

1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ支局長(欧州特派員)、ロサンゼルス支局長(米州特派員)を歴任、be編集部を最後に2014年9月、退職しフリー・ジャーナリストに。NGO「コスタリカ平和の会」共同代表。著書に『地球を活かすー市民が創る自然エネルギー』『活憲の時代』『変革の時代』『ゲバラの夢、熱き中南米』(以上、シネフロント社)、『一人の声が世界を変えた』『辺境を旅ゆけば日本が見えた』(以上、新日本出版社)、『世界一周 元気な市民力』(大月書店)、『反米大陸』(集英社新書)、『観光コースでないベトナム』(高文研)、『闘う新聞ーハンギョレの12年』(岩波ブックレット)、『燃える中南米』(岩波新書)など。

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