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[5]革命の成果と課題。どこまで格差を認めるか

伊藤千尋 国際ジャーナリスト

 キューバが世界に誇るものが二つある。教育と医療を無料にしたことだ。誰でも幼稚園から大学院の博士課程まで無料で教育を受けられる。病気になったら無料で診察してもらえるし、心臓移植の手術でさえただだ。

 それこそキューバ革命が求めたものだった。革命前は金持ちしか教育や医療は受けられなかった。貧しい人々は学校に通えず、病気になっても病院に行けなかった。それが様変わりした。発展途上国にもかかわらず経済大国の日本や米国でさえできなかったことを実現した。

 首都には大きな学校がいくつもあり、下校時は制服姿の生徒たちが町に目立つ。

カミロ・シエンフエゴス小学校=シエンフエゴスで拡大カミロ・シエンフエゴス小学校=シエンフエゴスで 撮影・筆者
 キューバ中部の農村地帯をバスで走ると、丘の上に小さな学校があった。

 教室は二つだけ。キューバ革命の英雄の名をとったカミロ・シエンフエゴス小学校だ。

 女性のマイデ校長が1年生から4年生を教え、もう一人の先生が5、6年生をみる。二人で15人の子どもたちを教える。

 教室にはテレビ画面や地球儀があるが、黒板は古くて板が擦り切れている。新調するカネがないようだ。

 キューバの小学校は6年、中学は3年、高校は3年で、日本と同じだ。ただし大学は5年制で医学校は6年だ。革命前には大学は3校だけだったが、今は60校ある。大学生の数は50万人に及ぶ。

 就学前の5歳から1年間は小学校で学ぶための基本的な能力を育てる幼稚園に通う。鉛筆の持ち方や丸を描く方法など教わるのだ。スペイン語独特のRの発音ができない子はここで言えるように訓練される。

カミロ・シエンフエゴス小学校の教室で話すマイデ校長=シエンフエゴスで拡大カミロ・シエンフエゴス小学校のマイデ校長=シエンフエゴスで 撮影・筆者
 小学校の1日は午前7時50分に始まる。
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筆者

伊藤千尋

伊藤千尋(いとう・ちひろ) 国際ジャーナリスト

1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ支局長(欧州特派員)、ロサンゼルス支局長(米州特派員)を歴任、be編集部を最後に2014年9月、退職しフリー・ジャーナリストに。NGO「コスタリカ平和の会」共同代表。主著に『凛凛チャップリン』『凛としたアジア』『凛とした小国』『9条を活かす日本―15%が社会を変える』(以上、新日本出版社)、『世界を変えた勇気―自由と抵抗51の物語』(あおぞら書房)、『13歳からのジャーナリスト』(かもがわ出版)、『地球を活かす―市民が創る自然エネルギー』(シネフロント社)、『反米大陸』(集英社新書)、『燃える中南米』(岩波新書)など。

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