メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

舛添批判も重要だが、マスゾエ流の横行こそが問題

ちょろまかしにはじまる構造汚職と「上から目線」

三島憲一 大阪大学名誉教授(ドイツ哲学、現代ドイツ政治)

 ゼニゲバ、ドケチ、ウソツキ、マネロン、ツケカエ魔、ネコババ、ゴマカシ、強欲、吝嗇(りんしょく)、卑劣、まあ、いろんな表現があるものだ。いわずと知れた東京都知事・舛添要一氏について、この数日メディアに踊ることばだ。領収書ごまかし、美術品も金儲けの手段などというのもある。

 「権力者になりたくて……政治学者になった」というビートたけしの巧みな形容も、多くの人を納得させたことだろう。ふだんの言動の「上から目線」を嫌う人も多い。

舛添要一・東京都知事拡大ミニ・マスゾエ、ミニ・ミニ・マスゾエもあちこちに……
 ゼニゲバぶりやネコババが本当なら(そしてどうやら本当らしい)、とてつもないことだ。

 しかももっととてつもないことに、その多くは政治資金に関する法律がザル法である以上、法的には問えないようだ。

 政治資金によるパジャマや下着の購入でも、「やはりいいパジャマでよく眠ることが、リフレッシュして翌日からまた都民の皆様のために働くのに必要なので」と強弁可能だ。この理屈が通るなら、きっとコンドームやバイアグラも大丈夫だろう。

 高級ホテルやファーストクラスのフライトが大好き。こういうことを言うと差し障りがあるかもしれないけれど、成り上がり系にこうしたタイプが多いことはたしかだ。

 例外もいるが、幼児期や青年期までの苦労や貧困の取り返しに貪欲なエリートが結構いる。

 背伸びしてワンランクもツーランクも上の生活を目指すと、先はおのずから、ゼニゲバやネコババや、マネロンやゴマカシ、そしてかたちばかり合法的なお手盛りになる。

 もちろん、成り上がり系でなくても、豊かな家の出身なのに親譲りでこの術に長けたのがいるのもたしかで、一概には言えないが、私が見てきたミニ・マスゾエ、ミニ・ミニ・マスゾエたちにはこの傾向がある。若くしてワンランク上の外車に乗ったり、領収書をごまかして、少しおいしいものを食べたり……。ときには数千円のことだが、弁護はできない。

裏金大好き人間はたくさんいる

 この短文が次にめざすところはもうおわかりかと思う。舛添批判は必要だし、辞職するまで批判するべきなのはたしかだ。しかし、もっと重要なことがある。水に落ちた犬を打つのもいいが、

・・・ログインして読む
(残り:約2043文字/本文:約2962文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

三島憲一

三島憲一(みしま・けんいち) 大阪大学名誉教授(ドイツ哲学、現代ドイツ政治)

大阪大学名誉教授。博士。1942年生まれ。専攻はドイツ哲学、現代ドイツ政治の思想史的検討。著書に『ニーチェ以後 思想史の呪縛を超えて』『現代ドイツ 統一後の知的軌跡』『戦後ドイツ その知的歴史』、訳書にユルゲン・ハーバーマス『近代未完のプロジェクト』など。1987年、フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞受賞、2001年、オイゲン・ウント・イルゼ・ザイボルト賞受賞。

三島憲一の記事

もっと見る