2016年06月03日
ミャンマー中部の古都バガンの一角にミンチントゥ村がある。今から約1000年前にこの国の最初の王朝の首都として繁栄したバガンの中でも、当時の面影をとりわけ今に伝えるのがこの村だ。
音のする方に行くと、行列がやってきた。牛が牽(ひ)く車が10台くらい、一列になって村を練り歩いている。幼い男の子が坊さんになる得度(とくど)式だ。
牛は肩にコブを持つ白いセブー種だ。2頭の白牛は頭や背中に赤い花飾りをつけている。
牛が牽く車の荷台も、祭の山車のように金色の彫刻が施されている。そこには金色や紫色のきらびやかな衣装を着た幼い子が座り、かたわらの女性が子どもに日傘を差しかける。
列が向かうのは僧院だ。頭の毛を剃り落して沙弥(しゃみ)という見習い僧になる。もっとも、この時期の出家の期間は1週間から1~2カ月にすぎない。それが過ぎるとまた元の生活に戻る。
得度式を行う男の子は普通7~8歳だが、この行列の子の最年少は5歳だった。着ている衣装は王子の装束をあしらったものだという。日本でいえば七五三に当たるような通過儀礼だけに、親は貯金をはたいてせいいっぱい着飾らせる。
そばの土間にはゴザが敷かれ、糸車のわきでおばあさんが特産の葉巻をくゆらせている。おばあさんは91歳だ。やにわに糸車を回して糸を紡ぎ出した。
店の2階のバルコニーにはミャンマー語と英語で「国民民主連盟」と書いたピンクの看板が掛かっている。ここはアウンサンスーチーさんの
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください