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[40]シリア、毒ガス兵器使用の衝撃

川上泰徳 中東ジャーナリスト

犠牲者の半分以上が子供たち

 2013年8月21日、シリアの反体制組織が「ダマスカス近郊で政府軍が砲撃で猛毒ガスを使用し、1350人の死者が出た」と発表した。

 この日の朝、アルジャジーラテレビでシリアからの衝撃映像が流れ始めたのが始まりだった。ダマスカス東部の東グータ地区の野戦病院で裸の子供たちを水で洗うシーンがあった。3歳か4歳くらいの子供に全く意識がなく、口から泡を吹いている映像もある。苦しそうな息をしている子供の映像もあったが、多くは全く反応がない。

 砲撃は未明にあったもので、シリア反体制組織「東グータ地域調整委員会」が「毒ガスが使用された」と発表した。動画サイト「ユーチューブ」にも様々な動画が上がってくる。最初はすべて、野戦病院での治療の様子だった。反体制組織は昼過ぎの情報として、「死者635人」と発表した。その後、死者数は増えた。

 さらに、治療の映像ではなく、白い布に包まれた小さな遺体が床に並べられた映像が出始めた。午後になると、死者は1000人を超える数字になった。カイロ時間の午後5時(日本時間22日午前零時)になると、1350人という死者数になった。

 アルジャジーラテレビに流れている映像も、ユーチューブからの映像である。東グータの地域調整委員会の発表は、フェイスブックのサイトでも流れている。シリア政府は毒ガス使用について「でっちあげだ」と事実そのものを否定した。毒ガス使用の事実を確認する材料はないが、映像を見る限り、「でっちあげ」や「演技」と考えることはできない。

 毒ガスはサリンガスらしいという見方が出ていた。

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