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犠牲者の半分以上が子供たち

 2013年8月21日、シリアの反体制組織が「ダマスカス近郊で政府軍が砲撃で猛毒ガスを使用し、1350人の死者が出た」と発表した。

 この日の朝、アルジャジーラテレビでシリアからの衝撃映像が流れ始めたのが始まりだった。ダマスカス東部の東グータ地区の野戦病院で裸の子供たちを水で洗うシーンがあった。3歳か4歳くらいの子供に全く意識がなく、口から泡を吹いている映像もある。苦しそうな息をしている子供の映像もあったが、多くは全く反応がない。

 砲撃は未明にあったもので、シリア反体制組織「東グータ地域調整委員会」が「毒ガスが使用された」と発表した。動画サイト「ユーチューブ」にも様々な動画が上がってくる。最初はすべて、野戦病院での治療の様子だった。反体制組織は昼過ぎの情報として、「死者635人」と発表した。その後、死者数は増えた。

 さらに、治療の映像ではなく、白い布に包まれた小さな遺体が床に並べられた映像が出始めた。午後になると、死者は1000人を超える数字になった。カイロ時間の午後5時(日本時間22日午前零時)になると、1350人という死者数になった。

 アルジャジーラテレビに流れている映像も、ユーチューブからの映像である。東グータの地域調整委員会の発表は、フェイスブックのサイトでも流れている。シリア政府は毒ガス使用について「でっちあげだ」と事実そのものを否定した。毒ガス使用の事実を確認する材料はないが、映像を見る限り、「でっちあげ」や「演技」と考えることはできない。

 毒ガスはサリンガスらしいという見方が出ていた。 ・・・ログインして読む
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筆者

川上泰徳

川上泰徳(かわかみ・やすのり) 中東ジャーナリスト

長崎県生まれ。1981年、朝日新聞入社。学芸部を経て、エルサレム支局長、中東アフリカ総局長、編集委員、論説委員、機動特派員などを歴任。2014年秋、2度目の中東アフリカ総局長を終え、2015年1月に退職し、フリーのジャーナリストに。元Asahi中東マガジン編集人。2002年、中東報道でボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『イラク零年――朝日新聞特派員の報告』(朝日新聞社)、『現地発 エジプト革命――中東民主化のゆくえ』(岩波ブックレット)、『イスラムを生きる人びと――伝統と「革命」のあいだで』(岩波書店)、『中東の現場を歩く――激動20年の取材のディテール』(合同出版)、最新刊に『「イスラム国」はテロの元凶ではない――グローバル・ジハードという幻想』(集英社新書)。

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