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 イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃が2014年まで3回繰り返された。だが、その時々の政治状況によって、様相は全く異なった。

イスラエルの空爆から1年後の2015年にも破壊の後が広がるガザ市のシュジャーイヤ地区=2015年8月、川上撮影拡大イスラエルの空爆から1年後でも破壊の後が広がるガザ市のシュジャーイヤ地区=2015年8月、撮影・筆者
 最初は2008年12月末から1月中旬まで3週間続いた。死者は1400人、イスラエル軍による戦争犯罪の疑いがあると問題になった。

 次の攻撃は「アラブの春」の後の2012年11月で、この時エジプトはムスリム同胞団系のムルシ政権だった。攻撃が始まるとすぐにアラブ外相会議が開かれた。その後、アラブ諸国の外相が次々とガザに入り、イスラエルの地上軍侵攻は阻止された。

 3回目はそのムルシ大統領が軍のクーデターで排除された後の2014年7月~8月の51日間にわたる攻撃。期間中2205人が死亡し、うち1483人は民間人(子どもが521人、女性が283人)という悲惨な状況となった。

悪夢の始まり

 私は2009年1月のガザ攻撃の後、現地に入り、破壊のすさまじさに驚いた。

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筆者

川上泰徳

川上泰徳(かわかみ・やすのり) 中東ジャーナリスト

長崎県生まれ。1981年、朝日新聞入社。学芸部を経て、エルサレム支局長、中東アフリカ総局長、編集委員、論説委員、機動特派員などを歴任。2014年秋、2度目の中東アフリカ総局長を終え、2015年1月に退職し、フリーのジャーナリストに。元Asahi中東マガジン編集人。2002年、中東報道でボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『シャティーラの記憶――パレスチナ難民キャンプの70年』(岩波書店)、『イラク零年――朝日新聞特派員の報告』(朝日新聞社)、『現地発 エジプト革命――中東民主化のゆくえ』(岩波ブックレット)、『イスラムを生きる人びと――伝統と「革命」のあいだで』(岩波書店)、『中東の現場を歩く――激動20年の取材のディテール』(合同出版)、『「イスラム国」はテロの元凶ではない――グローバル・ジハードという幻想』(集英社新書)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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