2016年06月15日
「琉球新報には貸さない」と大家に断られて――はびこる排外主義と「真の愛国者」
元海兵隊員の米軍属による女性暴行殺人事件の責任の一端は、米軍の最高司令官であるオバマ大統領、基地を提供する安倍晋三首相にもある。
5月25日の日米首脳会談で事件のことが取り上げられた。約55分に及ぶ会談のうち最初の約20分が事件についての議論だった。翁長雄志知事は事件の再発防止を直談判するため、オバマ氏との面談を安倍氏に求めていたが、会合では触れられなかった。
オバマ氏は「お悔やみと遺憾の意を表明する」と述べたが、謝罪はしなかった。
ケリー米国務長官は「犠牲者の遺族や友人に深い謝罪の意を表明する」と岸田文雄外相に伝えているが、大統領が謝罪するほどの事件ではないと考えているのだろうか。
6月4日の日米防衛相会談では、地位協定の適用対象となる「軍属」など米軍関係者の範囲を明確にする協議を始めることで一致した。しかし、地位協定の改定には踏み込まなかった。
こうした日米の対応に沖縄県民の多くが失望しているに違いない。なぜなら、沖縄の要求と照らせば、“ゼロ回答”に等しいからだ。
琉球新報などが実施した先の世論調査では、「根本的改定」が45%と最も多く、「全面撤廃」も34%にも上る。「運用改善」は15%にとどまり、「現状のまま」は3%でしかない。日米政府の対応と県民意識との溝はあまりにも深い。
日米政府は、米軍普天間飛行場の代替施設として、名護市辺野古に強襲揚陸艦などを接岸できる軍港機能を備えた新基地を造ろうとしている。
両政府は、嘉手納基地よりも南の基地を返還することにより、「負担を軽減する」と言っているが、実態は施設新設を含む機能強化のための再編にほかならない。新基地ができれば、今後100年、いや200年、またその軍事基地との「共存」を強いられる。
米軍機墜落の恐怖は辺野古に移設したとしても付きまとう。米紙から「空飛ぶ恥」と言われる
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