山口一臣(やまぐち・かずおみ) 朝日新聞東京本社フォーラム事務局
1961年生まれ。89年に朝日新聞社入社。「朝日ジャーナル」「週刊朝日」編集部などを経て、2006年から11年まで「週刊朝日」編集長。現在は、朝日新聞東京本社フォーラム事務局。
セコ過ぎるスキャンダルが“大疑獄”になったわけ
東京都の舛添要一知事が6月15日午前、ついに辞職願を提出した。
身から出たサビとはいえ、最終局面でのメディアと世間の舛添氏に対する追い込みはイジメに等しく、見ていて後味の悪いものだった。舛添氏がいったいどういう「罪」を犯したのかはそっちのけで、「辞めさせること」が目的化している印象だった。
指摘された豪華出張や公用車での温泉別荘通い、さらに国会議員時代の政治資金の流用(公私混同)など、擁護するつもりはサラサラないが、誤解を恐れずあえて言えば、いずれも驚くような話ではない。
豪華出張については前々任者の石原慎太郎氏の時も派手だったし、政治資金の流用については荒井聰元国家戦略相のキャミソールや宮沢洋一元経産相のSMバー、小渕優子元経産相の下仁田ネギやベビー服、安倍晋三首相のガリガリ君など言い出したらキリがない。
とくに石原都知事時代の海外視察は、都政とどんな関係があるのかよくわからないガラパゴス諸島での高級宿泊船クルーズあり、ロンドン五輪の調査名目の出張ではマン島まで足を伸ばし、オートバイレース見物などに興じていたなんてのもある。
しんぶん赤旗(2006年11月16日付)の調べでは、資料が入手できた15回分の海外出張だけで総経費が2億4000万円を超えていたという。当時の石原知事もバッシングはされたが、舛添氏のようなことにはならなかった。
では、舛添氏はいったいどこで間違ったのかーー。
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