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ロシア下院議長、シベリア抑留「合法」発言の意味

「哀悼」「謝罪」を表明したゴルバチョフ、エリツィン時代の見解を転換か?

大野正美 朝日新聞記者(報道局夕刊企画班)

 ナルイシキン・ロシア下院議長が先の訪日時に日ロのメディアに対して行った記者会見(2016年6月17日)は、いろいろな意味で興味深かった。

記者会見するナルイシキン議長=6月17日、東京都千代田区の帝国ホテルで拡大記者会見するナルイシキン議長=2016年6月17日、東京都千代田区の帝国ホテルで 撮影・筆者
 ロシア南部ソチで5月にあった首脳会談で安倍晋三首相とプーチン大統領は、北方領土問題の解決促進で今までの発想にとらわれない「新アプローチ」を取ることで合意したとされた。

 しかし、領土問題に関するナルイシキン議長の発言は、「日本が第2次世界大戦の結果を認めること」と、「(平和条約締結後の歯舞、色丹2島の日本引き渡しを定めた)1956年の日ソ共同宣言で両国が負う義務の実現」が解決のための条件という、これまでのロシアの公式路線そのものだった。

 一方で、日ロ関係にかかわる歴史的に重要な問題で、ロシアの政権中枢が態度を変化させていることをうかがわせる発言もあった。

 第2次世界大戦後のソ連によるシベリア抑留について「戦争捕虜に対するソ連の行動は国際法に違反していなかった」と語ったことだ。

「国際法違反はなかった」

 シベリア抑留についてエリツィン元大統領は1993年10月の訪日で「非人間的な行為」との認識を示し、「全体主義が犯した罪」を謝罪した。今回、「国際法違反はなかった」としたナルイシキン議長は謝罪をせず、「犠牲者に哀悼の気持ちを持つ」としただけだった。

 会見で議長は、米国による広島、長崎への原爆投下について「人道に反する罪であり、国際裁判で裁かれるべきだ」とする以前からの持論も語った。抑留に関する発言はこれを受けた質疑の中で出てきた。日ロのメディアはほとんど報じていないので、記録の意味も込めて関連する発言全部を紹介しておきたい。 ・・・ログインして読む
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筆者

大野正美

大野正美(おおの・まさみ) 朝日新聞記者(報道局夕刊企画班)

1980年、朝日新聞社入社。水戸支局、外報部、東京社会部などを経て、1986年からサンクトペテルブルクに留学、モスクワ支局勤務は3回計11年。論説委員、編集委員、国際報道部・機動特派員を経て、現在は報道局夕刊企画班。著書に『メドベージェフ――ロシア第三代大統領の実像』『グルジア戦争とは何だったか』(いずれもユーラシア・ブックレット、東洋書店)など。

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