2016年08月23日
4月の下旬のこと、日本大使館に行く用事があった。ソウルの日本大使館は米国大使館の裏手、狭い路地を入ったところにある。メインストリート沿いの一等地にある米国大使館に比べると、かなり「日陰」っぽいイメージなのだが、最近は従軍慰安婦問題をめぐる「現場」として、内外から注目されている。
「像の移転は許さない」
「合意」直後から、路上では移転に反対する女学生らの座り込みが行われている。
移転阻止運動は半年たった今も継続しており、その矛先は日本政府だけでなく、韓国政府が元慰安婦を支援するために設立した「和解・癒やし財団」にも向けられている。
8月12日には、日本政府が約束の10億円を、この財団に支払う手続きに入ったことが発表されたが、それに対しても、抗議行動が行われている。
このような現場を見ると、「相手への感情が好転」といわれても、単純には喜べない。そもそも「第4回日韓共同世論調査(2016年7月)」でも、昨年(2015年)に比べて改善されたといはいえ、未だ日韓の相手国への印象は「良くない」が「良い」より圧倒的に多いのだ。(良い……日29.1% 韓21.3%、良くない……日44.6%、韓61%)。しかも、「印象が良くない」の理由はこうだ。
日本―「歴史問題などで日本を批判し続けるから」75.3%
韓国―「韓国を侵略した歴史について正しく反省していないから」76.3%
理由のトップは両者ともに歴史問題であり、2番目も並んで領土問題。さらに3番目は奇しくも互いの「国民性」(?)である。
日本―「韓国人の言動が感情的だから」22.6%
韓国―「日本人は建前と本音が違うから」24.2%
日本人には大使館前などで抗議行動をする韓国人の印象が強烈なのかもしれない。一方で韓国人は、日本政府の謝罪は「建前」であり、右派政治家や保守団体の言動こそが「本音」ととらえているのかもしれない。
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