「歴史歪曲」か「フィクション」か
2016年09月07日
「これは、あんまりだ」と皆が言うほど、韓国も今年の夏は暑かった。連日の猛暑警報、人々のやり場のない怒りは、「暑さは今週がピーク」と何週も言い続けた気象庁に向けられた。
「お天気に文句言っても仕方がないと思うんですよ、自然現象なのだから。でも、天気予報に裏切られるのは腹が立つ(笑)」
ただ、寒さもそうだが、極端な暑さは人々に妙な連帯感をもたらす。見知らぬ他人同士が、バス停で、スーパーで、郵便局の窓口で、「本当に暑いですね」と自然に言葉を交わした。共に戦い、いたわり合う同志、戦友? 暑さも悪いことばかりじゃない。
ところで韓国では、この猛暑に恩恵を受けた人々もいる。この夏、4本の韓国映画が観客動員数500万人超えのビッグヒットとなった。以下は8月28日までの各映画の動員数だ(カッコ内は封切りの日)。
『釜山行き』(7月20日) 1142万3237人
『仁川上陸作戦』(7月27日) 695万3992人
『徳恵翁主』(8月3日) 530万6354人
『トンネル』(8月10日) 628万586人
韓国の全人口は約5000万人。観客500万人といえば、10人に1人が映画館に足を運んだわけで、それだけでも素晴らしいのに、そんな映画がひと月に4本。しかも全て韓国映画という快挙。
これに猛暑が少なからぬ貢献をしたと思われるのは、韓国では暑さ寒さの回避地ナンバー1が映画館であり、これまでも多くの大動員記録が夏休み中に更新されているからだ。ちなみに昨年(2015年)も『ベテラン』(8月5日)と『暗殺』(7月22日)がそれぞれ累計で1000万人超を記録している。
暑いから、とりあえず映画館に行く。外国映画はハードルが高いと感じる年齢層も韓国映画ならばと気楽に訪れる。あまり知られていないかもしれないが、韓国人は世界でもっとも映画館をひんぱんに訪れる人々なのだ。
なので映画をめぐる問題は、それだけにとどまらない「社会的問題」となる。この夏もまた、ビッグヒット4本は社会的、政治的な議論をも巻き起こした。
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