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大統領へのノーベル平和賞はコロンビア和平を救う

最も平和に貢献した平和賞に?

伊藤千尋 国際ジャーナリスト

妖しいものが集まった魔の地

 なければないでかまわないが、あれば人の心をかき乱す。そんな妖しいものが集まった魔の地が南米コロンビアだ。緑の宝石エメラルド、あでやかな蘭のカトレヤ、コクのあるコーヒーと華やかな美女、そして麻薬のコカイン……。

 蠱惑的なものがこれほどそろっていれば、人は幻惑される。夢と現実が織りなすガルシア・マルケスの作品が生まれたのも、この風土だからこそだ。

 現実の政治も小説さながらだ。大土地支配を続けようとする旧勢力、米国流の新自由主義を狙う新勢力、さらに政権を奪おうとする左翼ゲリラが絡んだ。それも世界のゲリラのオンパレードのように。

ノーベル平和賞を受賞したコロンビアのサントス大統領=ロイター拡大ノーベル平和賞を受賞したコロンビアのサントス大統領=ロイター
 今年度のノーベル平和賞を受賞するフアン・マヌエル・サントス大統領(65)は、半世紀にわたる内戦を終わらせようと夢見た。ゲリラ側と4年をかけた粘り強い交渉の末に、ついに和平合意を得た。

 それもつかの間、やらなくてもいい国民投票をして、過半数が合意の内容に反対という結果を招いた。和平は頓挫したかに見えた。

 窮地を救ったのがノーベル平和賞だ。

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筆者

伊藤千尋

伊藤千尋(いとう・ちひろ) 国際ジャーナリスト

1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ支局長(欧州特派員)、ロサンゼルス支局長(米州特派員)を歴任、be編集部を最後に2014年9月、退職しフリー・ジャーナリストに。NGO「コスタリカ平和の会」共同代表。主著に『凛凛チャップリン』『凛としたアジア』『凛とした小国』『9条を活かす日本―15%が社会を変える』(以上、新日本出版社)、『世界を変えた勇気―自由と抵抗51の物語』(あおぞら書房)、『13歳からのジャーナリスト』(かもがわ出版)、『地球を活かす―市民が創る自然エネルギー』(シネフロント社)、『反米大陸』(集英社新書)、『燃える中南米』(岩波新書)など。

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