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カストロは「キューバの水戸黄門」だった

21世紀まで生き残った革命家

伊藤千尋 国際ジャーナリスト

 キューバ革命の英雄、フィデル・カストロ前国家評議会議長が11月25日、90歳で亡くなった。中国の毛沢東やベトナムのホー・チミン、ユーゴのチトーなど20世紀の名だたる革命家の中でただ一人、21世紀まで生き残った巨星の死である。

国立図書館前には半旗が掲げられていた=29日午後、キューバ・ハバナ拡大国立図書館前に半旗が掲げられた=2016年11月29日、キューバ・ハバナ

 米国や日本のマスコミはしばしばカストロを「独裁者」と言い、キューバを「暗黒社会」と書く。米国のトランプ次期大統領は「残虐な独裁者が世を去った」とコメントした。

 だが、実際にキューバを訪れてカストロと接すれば、まったく違う印象を抱く。キューバを旅行した日本人の多くは「明るい社会」に驚き、ハバナに赴任した日本大使の何人もが帰国後にカストロに好意的な本を出版した。記者としてカストロに何度も身近で接した私も、同じ思いだ。

まるで「兄貴」感覚

ハバナの国際空港でベトナム訪問団を見送るカストロ=2004年、拡大ハバナの国際空港でベトナム訪問団を見送るカストロ(2004年)=撮影・筆者
 1989年にキューバを訪れたさい、東部のカマグエイ市郊外に建設中の酪農村を取材した。公民館やアパートなどを建てるため労働者がツルハシをふるっていた。

 彼らに話を聞いていると突然、ジープが5、6台、一列に並んでやってくる。その2台目にカストロが乗っていた。現地視察だ。

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筆者

伊藤千尋

伊藤千尋(いとう・ちひろ) 国際ジャーナリスト

1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ支局長(欧州特派員)、ロサンゼルス支局長(米州特派員)を歴任、be編集部を最後に2014年9月、退職しフリー・ジャーナリストに。NGO「コスタリカ平和の会」共同代表。主著に『凛凛チャップリン』『凛としたアジア』『凛とした小国』『9条を活かす日本―15%が社会を変える』(以上、新日本出版社)、『世界を変えた勇気―自由と抵抗51の物語』(あおぞら書房)、『13歳からのジャーナリスト』(かもがわ出版)、『地球を活かす―市民が創る自然エネルギー』(シネフロント社)、『反米大陸』(集英社新書)、『燃える中南米』(岩波新書)など。

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