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日ロ首脳会談、「私たちの世代で決める」危うさ

北方領土問題も大胆な経済協力も、安倍首相の任期中にできるのか?

大野正美 朝日新聞記者(報道局夕刊企画班)

 山口、東京を舞台にした日ロ首脳会談は、北方領土4島での共同経済活動に関する協議の開始、元日本人島民らの4島への自由往来の改善検討、外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の復活で合意した。会談に合わせて日ロ間では、安倍晋三首相の対ロシア経済協力8項目提案に基づく82の成果文書が調印された。前にここで予測を試みた内容と、ほぼ一致する結果といえる。

日ロ会談、北方領土問題の実質進展は望み薄――動いているかのように見せる「ダメージコントロール」より本質的な議論を

儀仗(ぎじょう)隊が並ぶ中、安倍晋三首相(右)の出迎えを受け、官邸に入るロシアのプーチン大統領=16日拡大儀仗隊が並ぶ中、安倍晋三首相の出迎えを受け、官邸に入るプーチン大統領=2016年12月16日
 つまり、中身はともかく成果文書の数からくる物々しさが感じられた経済協力に比べ、北方領土問題では新たに具体的な成果はほとんどなかった。

 共同経済活動も、あくまでどうそれを実施するかについての協議の開始であり、領土問題でどちらの国の立場も害さない特別な制度の設計など、難題が数多い。

 実施にこぎつけたにしても、ロシアの軍人らも含めて居住者が3万人程度とされる4島でどこまで効果的な経済活動ができるのか。先行きには多くの不透明さがつきまとう。

北方領土は「ゼロ島」から協議?

 一方で、領土問題でのロシア側の態度には一段ときびしさが増した。プーチン大統領は事前の一部日本メディアとの会見で、1956年の日ソ共同宣言が歯舞、色丹2島だけの日本引き渡しを定めていることを理由に国後、択捉を加えた4島の帰属問題を協議することは「共同宣言の枠を超えている」として応じない考えを明確に示した。

 また、この会見でプーチン氏は56年宣言について、歯舞、色丹の2島が「平和条約の締結後にどのような条件の下で引き渡されるのか、どちらの主権下に置かれるかは書かれていない」との持論を繰り返した。さらに首脳会談終了後の記者会見では、日米安保条約の存在を理由にロシア海軍の太平洋での活動に制約が生じることに強い懸念を示し、仮に歯舞、色丹を引き渡す場合にはそこに米軍基地を設置しない保証を日本に求める姿勢を鮮明にした。

 ラブロフ外相は最近、日ソ共同宣言に基づく歯舞、色丹2島の日本への引き渡しについて「その実現のために合意するべき様々なディテールにさきがけ、まず平和条約を結ぶべきだ」と述べている。

 こうした発言から ・・・ログインして読む
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筆者

大野正美

大野正美(おおの・まさみ) 朝日新聞記者(報道局夕刊企画班)

1980年、朝日新聞社入社。水戸支局、外報部、東京社会部などを経て、1986年からサンクトペテルブルクに留学、モスクワ支局勤務は3回計11年。論説委員、編集委員、国際報道部・機動特派員を経て、現在は報道局夕刊企画班。著書に『メドベージェフ――ロシア第三代大統領の実像』『グルジア戦争とは何だったか』(いずれもユーラシア・ブックレット、東洋書店)など。

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