2016年12月28日
12月13日(火) 「調査情報」の原稿書きに没頭してしまい、新聞もテレビも全くパスして局の朝の定例会議へ。だから、その時点で僕は全く知らなかったのだ。その日の朝刊ラテ欄、日本テレビ夕方ニュースの番宣に「プーチン大統領独占インタビュー80分」と出ていたことを。日テレ、読売新聞のチームが、訪日前のプーチン大統領にクレムリンで独占インタビューをものにしていたのだ。
夕方の日テレニュースをみて愕然とした。これは正真正銘のスクープである。中身もあった。北方領土問題では、4島の帰属を交渉の対象とする日本側の主張は日ソ共同宣言の「枠を超える」ものであって「全く別の話で別の問題提起だ」、つまり論外だと一蹴していた。ウクライナを理由とした対ロ経済制裁に日本が加わっていることについても、平和条約の締結交渉や経済協力の進展を阻んでいると。さらには、日本はアメリカの意志から独立して「どの程度、独自のものごとを決められるんだ」とまで言われていた。かなり本音を言いたい放題という感じのインタビューだ。プーチンが外国メディアを相手にここまで長時間のインタビューに応じたというのは、最近ではあまり記憶がない。日テレ・読売以外の社の完敗ということで、僕らにとってはこの後は「負け戦」ということになる。僕が取材した限りでは、日テレが主導的に動いていたようだ。日テレ・ハラショー!
夕方、発作的にサントリーホールに飛び込む。読売日本交響楽団の定期コンサートだが、後半はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番が演目。ピアニストが旧ユーゴ・ベオグラード生まれのイーヴォ・ポゴレリッチ。この人物が何とも独創的な演奏なのだった。以前、ラフマニノフの自作自演のCDを聴いたことがあって、演奏のスピードの速さに驚いたことがあった。ところがポゴレリッチの場合は、それとは真逆で、極端に遅いテンポで(もちろん緩急が随所にあるのだが)ラフマニノフを演奏するのだった。わがままにスローなラフマニノフにしてくれ。そう言わんばかりのユニークなスタイル。でも不思議な魅力があった。
その後、CSのTBSニュースバード「ニュースの視点」で「今年の映画を振り返る」を収録。元TBSアナウンサーの宮内鎮雄さんがゲスト。宮内さんは1年に映画を600本見ている人だ。この人にかなう映画通はいない。尊敬している。宮内さんの選んだベスト1は『ハドソン川の奇跡』、僕は『怒り』、共通に3位に選んだのは『この世界の片隅に』だった。
12月14日(水) 日テレのプーチン・インタビューについて「一部メディアのインタビューに応じて」などと報じている社は、さもしいなあなどと思いながら、テレビも新聞もみずに文章書きの作業をしていた。昼近くになって何気なくフェイスブックで写真家・森住卓さんがアップした写真をみてたまげた。
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