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日本はどのように「朴槿恵後」に備えるのか?

「離米・親北」傾向にある野党大統領候補

櫻田淳 東洋学園大学教授

 ドナルド・J・トランプ(米国次期大統領)の登場が極東情勢に及ぼす影響については、彼の大統領就任前にもかかわらず、既に様々な展望が示されている。しかし、日本を取り巻く国際政治環境を展望する上で留意すべきは、「トランプの米国」も然ることながら、朴槿恵(韓国大統領)が去った後の韓国の動向であろう。

 後世、朴槿恵政権期の韓国とともに成就させた「成果」として語られるのは、二〇一五年の日韓「慰安婦」合意の樹立と昨年の日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の締結であろう。ただし、筆者は、この二つの対韓政策の「成果」を追求する際、日本政府が念頭に置いていたのが対韓関係ではなく対米関係なのであろうと評価していた。

 そもそも、米国を含む「西方世界」諸国の同盟網の中で「弱い環」になっていたのは、従軍慰安婦案件を含む歴史認識摩擦に揺れる日韓関係であった。故に、日韓関係の修復にどれだけ誠実に臨んでいるかは、日本にとっては、「西方世界」同盟網を成す立場としての存在証明になっていた。

 それ故にこそ、日韓「慰安婦」合意の樹立や日韓GSOMIAの締結に際しては、その後に米国政府の「歓迎」を確認するという手順が踏まれたのである。否、安全保障法制策定を含む安倍晋三内閣下の外交・安全保障政策は総じて、そうした「西方世界」同盟網への寄与を考慮に入れたものであった。昨年の日米関係のハイライトと評すべき「真珠湾の和解」もまた、そうした努力の蓄積の裏付けがあってこそ実現できたものである。

米韓関係に大きな亀裂?

 然るに、問われるべきは、次期大統領候補として名が挙がり、「朴槿恵後」の韓国政局を主導するであろう野党政治家が、そうした朴槿恵政権期の対日政策の「成果」が帯びる意味を適切に理解しているのかということである。

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