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続・日本はどのように「朴槿恵後」に備えるのか?

日韓慰安婦合意の行方よりも危惧されるのは「38度線」の後退である

櫻田淳 東洋学園大学現代経営学部教授(政治学)

 在釜山日本総領事館前に設置された慰安婦像に絡む紛糾は、在韓日本大使の一時帰国を含む日本政府の四項目対抗措置を招いた。ただし、日韓慰安婦合意それ自体は、それが韓国政府の都合によって着実に履行されようと反故にされようと、日本の国際政治上の立場や日本を取り巻く安全保障環境に特段の影響を及ぼすわけではない。

 文在寅(「共に民主党」前代表)に代表される韓国野党政治家や韓国左派メディアが主張するように、日韓慰安婦合意が反故にされたとしても、それは、日本の対韓不信の加速と韓国の対外威信の零落を招きながら、事態が二〇一五年十二月以前に戻ることを意味するものでしかない。

THAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備と米韓同盟の行方

高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD」の迎撃実験(米国防総省提供)=ロイター拡大高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD」の迎撃実験(米国防総省提供)=ロイター
 寧(むし)ろ、朴槿恵(韓国大統領)が去った後、韓国の対外政策の文脈で注視しなければならないのは、THAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備と米韓同盟の行方である。

 そもそも、日本が対抗措置を打ち出す直前まで、韓国メディアが頻繁に報じていたのは、THAAD配備決定が惹き起こした中韓関係の摩擦であった。

 中国政府は、THAAD配備断念を求めて対韓圧力を強めてきたけれども、文在寅のような野党政治家もまた、THHAD配備決定を日韓慰安婦合意に並ぶ朴槿恵政権期の「負の遺産」としてネガティヴに評価していた。

 THHAD配備の扱いは、米中両国の狭間で韓国が明らかにすべき「旗幟」になっていたのである。仮に文在寅のような野党政治家が「朴槿恵後」の政権に就き、THHAD配備に関する従来の主張を実際の政策として遂行しようとすれば、 ・・・ログインして読む
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筆者

櫻田淳

櫻田淳(さくらだ・じゅん) 東洋学園大学現代経営学部教授(政治学)

1965年生まれ。東洋学園大学現代経営学部教授。専門は国際政治学、安全保障。北海道大学卒、東京大学大学院法学政治学研究科博士前期課程修了。自民党衆議院議員の政策担当秘書などを経て現職。著書に『国家への意志』(中公叢書)、『国家の役割とは何か』(ちくま新書)、『漢書に学ぶ「正しい戦争」』(朝日新書)、『「常識」としての保守主義』(新潮新書)など。

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