政治そのものへの不信につながり、進む国民の政治離れ
2017年05月05日
今村雅弘復興大臣は4月26日、首相官邸で安倍晋三首相に辞表を提出し、受理された。今村復興大臣は先日、福島原発事故で自主的に避難した者の避難行動は「自己責任」であるとの見解を示し、問題となったばかり。今回の「まだ東北で、あっちの方だったから良かった」という発言も復興大臣としてありえないものだ。被災者の立場に立つべき復興大臣の1回だけでなく連続しての失言は、本人の政治家としての資質さえ問われるものだ。
安倍内閣構成員の失言・不祥事が続いている。金田勝年法務大臣のお粗末な答弁もひどかった。山尾志桜里衆院議員の「共謀罪」についての質問に対して、しどろもどろの答弁に加えて「お答えできません」のオンパレードとなった。法務大臣を引き受けたのであれば、一夜漬けでももっと勉強できなかったのかとあきれさせた。務台俊介政務官は、台風10号で被害を受けた岩手県岩泉町へ被害調査に訪れた際、被災現場の水たまりをおんぶされて渡っていたことが報道された。その後、「長靴業界はだいぶもうかった」と失言している。稲田朋美防衛大臣は、森友学園問題での「記憶違い」発言をしている。注目の高い案件だっただけにポスト安倍に名前を連ねていたが、大きな失点となった。
山本幸三内閣府特命担当大臣(地方創生・規制改革)の「一番がんなのは学芸員。普通の観光マインドが全くない。この連中を一掃しないと」という発言も注目を浴びた。学芸員は専門的知識で学術的価値を調査・保全している。学芸員のポジションは少なく、仕事が多いが条件は悪い。それでも一生懸命働いている学芸員の姿をどれだけ把握しているのか。中川俊直産業政務官の不倫女性に絡む「ストーカー登録」「重婚」疑惑も大きな不祥事である。こうした失言・不祥事が連続しているのだ。
第二次安倍内閣以降は全体としては失点が少なく、安倍内閣はかなり高い支持率を維持してきている。短気といわれる安倍首相はかなり発言には慎重で、際立った失言はあまりない。しかし、最近の安倍内閣の閣僚などの失言・不祥事の連続は安倍政権のイメージに打撃を与えそうだ。急に目立つようになった。
問題はなぜこのような状況になったのかだ。まず自民党が一強状態で気が緩んでいることが指摘される。森友学園問題などが起こっても、大きな崩れはない。朝日新聞社が4月15、16日に実施した全国世論調査(電話)では、
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