2017年06月22日
カザフ人の顔は日本人によく似ている。民族はモンゴル系だ。この国とモンゴルは隣あっている。かつては草原を馬で自由に行き来したのだろう。空港で迎えてくれた女性ガイドのジャナルさんも日本人のような顔をしている。ジャナルとは「瞳」の意味だ。
ジャナルさんは中国の新疆ウイグル自治区で生まれ育った。カザフ政府の里帰りの呼びかけに応えてカザフスタンを訪れ、そのまま住み着いたという。新疆では中国政府によってウイグル人が圧迫されているが、カザフ人にとっても居心地は良くないようだ。中国からカザフに観光で訪れて住み着くカザフ人は多いという。
カザフスタンは世界で第9位の広大な国土を持つのに人口は1700万人ほどでしかない。しかし、世界各地に散らばったカザフ人が1000万人規模でいる。カザフ政府はこうした同胞を吸収して国民をふやそうとしているのだ。カザフ人と証明されれば3か月で永住許可が出る。
この国にはなんと137もの民族が共存しているという。そのうちカザフ民族は全人口の3分の2にすぎない。首都アルマトイの街を歩くと白人をよく見かける。ロシア人だ。ロシア人はカザフ人の次に人口が多く、国民の2割以上もいる。ソ連時代は人口の3分の1を占めていたという。
それ以来、カザフスタンにはロシア人が押し寄せた。国語はカザフ語だが、公用語はロシア語、と憲法で規定してある。看板はロシア語のキリル文字だ。カザフ人の大半はイスラム教徒だが、市の中心部にそびえるのはロシア正教の教会だ。
帝政ロシアから社会主義のソ連に替わると、遊牧民もコルホーズなど集団農場に強制的に組み込まれた。このとき無理な定住で家畜が大量に死に、数万人の遊牧民が国境を越えて隣の中国に亡命した。もしかしてジャナルさんの先祖もその中にいたのかもしれない。
ソ連時代はロシア人の天下だった。国家の政策としてロシア人やウクライナ人を数十万人規模でカザフスタンに入植させた。ロシア人がカザフ共産党の幹部に任命された。不満を持つカザフ人の中にロシアに対抗する民族主義が芽生えた。抵抗するカザフ人を鎮圧したカザフスタン共産党中央委員会第一書記は、功績を評価されてモスクワ中央に栄転した。後のブレジネフ書記長だ。
当時のカザフスタンではカザフ語を使うと非難され、バスの中でカザフ語を話せばバスから降ろされた。当時は宗教も制限された。イスラム教徒は豚肉を食べないが、食事に出た豚肉を食べなければ非難されたとジャナルさんはいう。
カザフスタン北東部のセミパラチンスクはソ連時代に核実験場として使われた。
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