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アルク城拡大何度も破壊されては再建されたブハラのアルク城=撮影・筆者

 カザフスタンから飛行機でウズベキスタンへ。首都タシケントの空港で入国するさいは身構えた。「通関のさい厳しく検査される」と日本でさんざん聞いたからだ。書類の記述に間違いがないよう何度も見直して提出した。ところが、税関の係官はビザを確認したらあっという間に通してくれた。所持金などの申告用紙もさっと見ただけで何も言わない。聞いていた話とはだいぶ違う。

 空港で迎えてくれたウズベキスタン人のガイドの男性は、名をシュンコルさんという。隼(ハヤブサ)の意味だ。顔は「細川たかしの隠し子です」と自ら紹介するほど、あの演歌歌手に似ている。おだてると「北の~酒場通りには~」と日本語で歌い出した。声まで似ている。陽気で人懐こい。

 まずは列車に乗って地方都市ブハラを訪れることにした。かつて王朝の首都だった町で、日本で言えば奈良に当たる古都だ。

 シルクロードが活発だったころ、都市国家だったブハラを中国では「安国」と呼んだ。タシケントは「石国」で、二つの町の中間に位置するサマルカンドは「康国」だ。いずれもシルクロードの要衝である。鉄路の旅はそのまま旧シルクロードをたどる。

 ちなみに中国の唐の時代、中央アジアから唐にやってきたソグド人は出身地を姓にした。ブハラ生まれなら安氏で、サマルカンド生まれなら康氏だ。玄宗皇帝の時代に反乱を起こした将軍、安禄山はサマルカンド生まれのソグド人だ。母親がブハラの人と再婚したため姓を「安」とした。禄山はソグド語のロフシャン(明るい)を漢語に置き換えたものだ。

現代のシルクロードは日本製の鉄路

 タシケントの鉄道駅に行くと、ホールには亡くなったカリモフ大統領を追悼する祭壇が設けられていた。1メートル四方もあるカリモフ氏の写真の周囲は白いバラやユリの花で囲まれている。

特急列車シャルク号の機関車拡大特急列車のシャルク(東洋)号=撮影・筆者
 ホームに行くとすでに車両が待っていた。 ・・・ログインして読む
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筆者

伊藤千尋

伊藤千尋(いとう・ちひろ) フリー・ジャーナリスト

1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ支局長(欧州特派員)、ロサンゼルス支局長(米州特派員)を歴任、be編集部を最後に2014年9月、退職しフリー・ジャーナリストに。NGO「コスタリカ平和の会」共同代表。著書に『地球を活かすー市民が創る自然エネルギー』『活憲の時代』『変革の時代』『ゲバラの夢、熱き中南米』(以上、シネフロント社)、『一人の声が世界を変えた』『辺境を旅ゆけば日本が見えた』(以上、新日本出版社)、『世界一周 元気な市民力』(大月書店)、『反米大陸』(集英社新書)、『観光コースでないベトナム』(高文研)、『闘う新聞ーハンギョレの12年』(岩波ブックレット)、『燃える中南米』(岩波新書)など。

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