増え続ける調達単価、維持整備費。もはや自衛隊の人員を削減するしかない
2017年12月11日
稼働率が低いということは、そのぶん搭乗員の飛行時間が減ることを意味する。一般的には搭乗員の技量は飛行時間に比例する。飛行時間が減少すれば技量は低下する。また飛行時間が減少すれば整備員も仕事が減って、技量が低下する恐れがある。例えば陸自のヘリ部隊では以前は220時間ほどだった飛行時間が120時間ほどに減っている。
実際、自衛隊の装備の稼働率はかなり低下している。極論を言えば自衛隊の基地は「基地」ではなく、「博物館」化していると言ってよい。
さらに言えば、各部隊は現在予算削減のために訓練時間も減らすように指導されているという。これは訓練費だけではなく、装備の損耗や燃料費を抑えるためだろう。訓練しなければ部品は消耗しないし、燃料消費も抑えられる。だが、そのぶん練度は下がり、それが事故につながる。戦力の低下につながることは言うまでもあるまい。
だが防衛省、自衛隊は新型装備の取得自体が目的化しており、それを維持運用し、有事に有効に活用するという、軍隊では当然の考えが欠如している。その意味において自衛隊は、故吉田茂元首相が言った「戦力なき軍隊」という言葉通りの組織である。
ソ連崩壊前、自衛隊は東西軍事力のシーソーゲームで西側の錘(おもり)となればいい、つまり「存在する自衛隊」であればよく、実戦は期待されていなかった。その後、石破茂氏が防衛大臣になったときには「存在する自衛隊」から「機能する自衛隊」に改革するとしたが、その後も実態と意識は変わっていない。
だから調達する装備をいくつ、いつまでに取得、戦力化するというプランも、総額がいくらかかるかも、国会にも納税者にも説明しない。つまり
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