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2018年はマクロンの1人勝ち?!

低迷した支持率が年末に急上昇。国内の“政敵”はパッとせず、国際的にも好位置に

山口 昌子 在フランス・ジャーナリスト

ドゴールばりの「強いフランス」前面に

訪中し、共同会見後に中国の習近平国家主席と握手するマクロン仏大統領(左)=1月9日、北京・人民大会堂拡大訪中し、共同会見後に中国の習近平国家主席と握手するマクロン仏大統領(左)=1月9日、北京・人民大会堂

 2018年、フランスのエマニュエル・マクロン大統領には順風が吹きそうだ。

 昨年5月の就任から間もなく急落し、夏から秋にかけて低迷した支持率は年末に急上昇。また、今や国内には敵なしの状態なのにくわえ、国際的にみても、トランプ米大統領をはじめ英独ロの首脳らの基盤が不安定なのに対し、目下のところ盤石である。昨年12月21日に40歳の誕生日を迎えたばかりの若き大統領にとって、今年は「一人勝ち」の年になる気配が濃厚なのだ。

 「フランスをより強力により公平にすること。世界の変化に適応させるだけではなく、国際的な要請に対応できるために。より大量な生産が国家的な連帯を保障するだけでなく、国際的に人類としての要請を可能にする」。

 マクロン大統領は慣例のテレビ・ラジオを通じた「国民への新年のあいさつ」で、大統領としての責務に関し、こう宣言し、ドゴール将軍ばりに内外での「強いフランス」を前面に押し出した。

人間・マクロンの面も強調

 その一方で、これに先立ち、フランス通信(AFP)などには「フランスの多くの家族同様に、妻の実族も含めてクリスマスのお祝いも兼ねて(誕生日を)祝った。自分のあり金をはたいた。パリからも、ちょっと離れたかった。クリスマスは前任者たちと同様に、エリゼ宮(大統領府)で過ごす」と述べ、人間・マクロンの面も強調した。

 ただし、これには大統領が12月21日の誕生日をブリジット夫人の家族も含め、総勢約15人とともに仏中部ロワール河畔の観光名所シャンボール城内のホテルで過ごしたことに対し、「王様気取り」などの批判が起きたことへの言い訳という面もある。

 さらに翌22日には、フロランス・パルリ軍事相らを伴って軍事協定を結ぶアフリカ・ニジェールに飛び、治安対策のために展開中の仏軍と早めのクリスマスを祝った。エリゼ宮のシェフが特別ディナーを用意するという念の入れようだった。

奇跡的な支持率の回復

 12月の各種の世論調査をみると、支持率は46%(左派系「リベラシオン」)から51%(日曜新聞「ジュルナル・ドゥ・ディマンシュ」)と、いずれも前月から急上昇し、50%前後に達する。就任直後の60%台から夏に40%まで急落、その後も低迷を続けた支持率はすっかり回復した。歴代の大統領の例からみて、一度落ちた支持率が急上昇することは、奇跡的ともいえる。

 しかも、大衆紙パリジャンが年末に実施する恒例の世論調査「好ましい人物」では、1位のオマール・シイ(アフリカ系男優、2011年公開の「最強の2人」で各賞の最優秀男優賞を総なめ)に続き、堂々の2位に。3位のテディ・リネール(柔道の五輪金メダリスト)、4位のジネディーヌ・ジダン(サッカーの元仏代表、現リアル・マドリード監督)、6位のソフィー・マルソー(女優)といった「好ましい人物」の常連たちを抜き去った。

 政治家でみても、人気テレビ環境番組の司会者としても活躍したニコラ・ユロ(環境移行連帯相)の15位、ジャンリュック・メランション(極左政党「服従しないフランス」リーダー)の18位、マリーヌ・ルペン(極右政党・国民戦線党首)の29位、ニコラ・サルコジ元大統領が34位の尻目に、他の追従を寄せ付けない人気ぶりだ。ちなみに、ブリジット夫人も40位に食い込んでいる。

 マクロン大統領はなぜ、人気を回復できたのか。 ・・・続きを読む
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筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) 在フランス・ジャーナリスト

産経新聞パリ支局長を1990年から2011年までつとめる。著書に『ドゴールのいるフランス』(河出書房新社)、『フランス人の不思議な頭の中』(KADOKAWA)、『原発大国フランスからの警告』(ワニブックスPLUS新書)、『フランス流テロとの戦い方』(ワニブックスPLUS新書)、『ココ・シャネルの真実』(講談社+α新書)、『パリの福澤諭吉』(中央公論新社)など。ボーン・上田記念国際記者賞、レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受賞。

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