広がる運動、緊張する政界財界マスコミ業界
2018年02月07日
平昌冬季オリンピック開幕まで残りわずか、そろそろメディアも五輪一色に、と思うのだが、なかなかそこにたどりつけない。北朝鮮のイベント参加キャンセルでギクシャクしたかと思えば、次に慶尚南道密陽(ミリャン)市で大規模な病院火災が起きてしまった。度重なる大きな火災、しかも今回は犠牲者に高齢の方が多かったことに、国民はショックを受けた。その傍らで、与野党は責任を押し付け合う。
「前政権時代の問題が……」「いつまで、そう言って逃げるのか」
こういうの、日本でもあるよね、と思う。
政界への失望が大きくなる中、さらに「事件」が起きた。女性検事が自らのセクハラ体験を告発したのだ。
今、「韓国版Me Too運動」として拡散している事件の主人公は、ソ・ジヒョンという現職検事。1月26日、彼女は検察内部のネットワークに、自身が8年前に受けたセクハラ被害についての告発文を載せた。そこには、当時の法務部幹部からのひどいセクハラと、その後の人事における不利益の詳細が記されていた。その3日後、ソ検事はテレビのニュース番組にも出演した。
「性暴力被害者たちに『決してあなたたちに非はない』とのメッセージを伝えたかった」
そして私も被害者の一人だという。つまり「Me Too」である。
さらに彼女は、他の女性検事が受けた被害についても暴露した。
当初、検察幹部は事態を甘く見ていた。検事総長は 「(ソ検事に対する)人事過程における問題点を発見できなかった。当事者らがすでに退職しており、問題の把握に困難がある」という反応を示したが、マスコミも国民もこれを許さず、大騒ぎになった。驚いた検事総長は、1月30日になって前言を撤回、ソ検事のセクハラ被害に関し、徹底した真相調査と応分の処置を約束したが、すでに事態は大きくなっていた。
そうして、2月2日には法務部長官が謝罪、ついには国家人権委員会が検察を捜査するという、前代未聞の展開となった。
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