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安倍改憲では安倍改憲の目的は達成できない?

自衛隊明記の自己矛盾

倉持麟太郎 弁護士(弁護士法人Next代表)

あなたの目的を達成するのに、その手段は有効?

衆院予算委で答弁する安倍晋三首相衆院予算委で答弁する安倍晋三首相

 およそいかなる言動にも目的があり、それを達成するためにどのような手段をとるか、ということが重要だ。スープを飲むという目的のためにフォークという手段は適切ではないし、渋谷の家から霞が関の裁判所に〝歩いていく〟という手段は、「痩せる」ことが目的なら適切そうだが、「急いで行く」ことが目的なら手段として適切ではなさそうだ。

 法学部で憲法を学ぶと、憲法訴訟論のメインとして習うのが「違憲審査基準論」である。ある法律や国家行為が憲法に適合しているか否かについて、ある法律の立法目的を達成するのにその手段は有効か、といった判断手法を採用する(目的手段審査)。

 たとえば、非嫡出子の相続分を嫡出子の半分にするという法律の目的が「法律婚の維持」だったとして、法律婚を維持する目的のために、非嫡出子の相続分を半分にするという手段に関連性があるか、ということが吟味される。

 安倍総理から投じられた大きな一石である「9条1項2項を維持したまま自衛隊を明記する」という改憲提案。この改憲提案の「目的」に対して、その目的を達成する「手段」として安倍総理の言う〝自衛隊を明記するだけ〟という手段が適切なのか、すなわち、安倍改憲という手段で安倍改憲の目的を達成できるのか。

 筆者の結論は、「否」である。

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