豊富な天然資源により過熱する、コンゴ民主共和国の子ども兵
2018年04月03日
シリアなど中東の戦闘が世界の耳目を集める一方、アフリカの紛争に光が当たることは少ない。しかし、関心が集まりにくいアフリカでの紛争は、非人道性において中東のそれに劣らない。とりわけ、15歳未満の子どもが戦闘に参加する「子ども兵」はアフリカでより頻繁にみられる問題で、これは豊富な天然資源によって過熱している。
軍事活動に関わる子どもは、日本では一般的に「少年兵」と呼ばれてきた。しかし、実際には少女も含まれるため、「子ども兵」と呼ぶ方が正確である。15歳未満で戦闘にかかわる子どもの人数を、国連児童基金(UNICEF)などは世界全体で約30万人と推計している。
子ども兵は1990年代以降、世界各地の戦場で多く確認されてきた。超大国が同盟者への支援を惜しまなかった冷戦期と異なり、海外からの援助が乏しくなるなか、各地の反体制武装勢力は資金や武器だけでなく、人員をも自ら調達する必要に迫られた。この背景のもと、特に貧困国で、反体制武装勢力だけでなく、これと衝突する正規軍も、子ども兵の徴用を増やしたのである。
その徴用には、親が殺害されて誘拐される、親の借金のカタに売られてくる、子どもを供出するよう農村が脅迫される、あるいは子ども自身が「英雄願望」や生活費の必要性に駆られて自発的に参加するなど、さまざまなルートがある。また、必ずしも全員が戦闘に参加するとは限らず、調理係や雑用係、あるいは成人兵士の性奴隷などの「任務」に就く者もある。
しかし、2017年2月にUNICEFはいまだに子ども兵が用いられている10カ国をリストアップしており、そのうちアフリカは5カ国(中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、ソマリア、南スーダン)を占める。なかでもコンゴ民主共和国は人数において世界屈指の水準にあり、UNICEFによると約3万人の子ども兵がいるとみられる。
コンゴ民主共和国では1998年に第二次内戦が発生して以来、各地に中央政府に従わない武装勢力が林立し、戦闘が散発的に続いてきた。それぞれの勢力にはイデオロギー的なまとまりは乏しく、民族や地域単位で構成されている。現在でも日本の6倍以上にあたる広い国土の各地は、50以上の武装組織によって実質的に支配されており、そのほとんどで子ども兵が用いられているとみられる。
コンゴ民主共和国で子どもが戦闘に駆り立てられ続けてきた要因の一つとして、豊富な天然資源があげられる。この国は金、錫、タンタル、コバルトなどに恵まれ、このうちスマートフォンや電気自動車で用いられるリチウムイオン電池の原料となるコバルトの生産量は、英国地質調査所の統計によると2016年段階で世界全体の約56パーセントを占める。豊富な天然資源は本来、国家発展の基盤となるはずだが、コンゴでは広い国土の各地を支配する武装勢力によって勝手に採掘され、その資金源にされてきたのである。
冷戦終結後、海外からの援助が減少し、
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