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加計学園の加計孝太郎理事長=岡山市北区理大町の加計学園 20180619拡大大阪で地震があった翌日の午前中、会見を開いた加計孝太郎加計学園理事長=2018年6月19日

6月19日(火) 朝、7時15分、寝屋川のホテルをチェックアウト。震源に近い高槻市の駅の通勤風景を取材。JRも私鉄各線も今朝はまだ乱れに乱れている。だがイライラもそこそこという感触だった。全く不通というわけでもないからか。きのうホテルで何回か余震を感じた。震度4くらいの結構大きいのもあった。通勤客たちにインタビュー。岸井成格さんのお別れ会の時の服装のままで大阪に来たので、ネクタイ、Yシャツ姿で何だか決まりが悪い。

 9歳の女児が崩れたブロック塀の下敷きになった小学校の現場へと向かう。たくさんの報道陣がいた。なかには大げさにヘルメットをかぶっている記者もいる。違和感。崩壊現場に近づくところに府警がロープを張って報道陣のそれ以上の接近を規制していたが、僕らが到着してまもなくしてその規制ラインを府警はさらに拡げ始めた。そして学校のブロック前の通りは、ほぼ200メートル以上にわたって全く入れなくなった。

 崩れたブロック塀には、卒業生らが描いた絵があって痛々しい。府警の実況見分が行われ始めた。花を手向けに来た住民たちのための献花台がロープの外側に移動された。そして献花に来た住民たちをカメラマンが寄ってたかって撮るような構図になってしまう。見ていて心苦しい。だが、自分がカメラマンなら、そうするだろう。

 それにしても、見るからに脆弱なブロック塀だ。高さ3.5メートル。補強もないまま基礎部分の1.9メートルの上に積み足された。こんなものが崩れたらひとたまりもないことはわかるだろうに。プールが見えないようにするためだったという。女児は、学校から言われた通り、朝の挨拶運動の当番としていつもより早く登校し、ブロック塀のそばのラインの内側を歩いていて犠牲になった。塀自体が違法建築物であることを昨夜のうちに高槻市側が認めているという。

 小学校近辺は小さな一軒家が並ぶ典型的な下町で、辻元清美とか辰巳孝太郎のポスターが目に入った。ひょっとして選挙区かな。被災者のインタビューを撮って回ったが、皆さんきちんと受け入れてくれた。下町共同体というか隣近所の付き合いがまだ成り立っている場所だ。高齢者が多い。

 そうこうして午前9時すぎになった時、同行しているRディレクターから「加計孝太郎理事長が記者会見を午前11時から行うらしいです」と告げられた。ええっ! しかも、地元局しか入れないと。卑怯なり。このタイミングで。大阪がこんな状況の時に。東京とも連絡をとって転進も考えたが、それだと被災地の直後の取材がとんでしまう。こんなことをして恥ずかしくないのだろうか。

 僕らは引き続き地震の取材。その後、ペットボトルの水が品切れになっているスーパーを回り、水道管の破断箇所、銭湯の煙突がぽっきりと折れた場所などを取材。加計理事長の会見をアイフォンでみていたが、自分の給料を自主返納するとか。ばっかじゃないの。自分が理事長をやっている学園に返納してどうするのか。会見は25分ほどで打ち切られる。記者たちの追求もやや甘いのではないか。不愉快な気持ちを抱えながら、児童や住民らの避難している小学校に回る。20名ほどの住民が避難していた。

 そう言えば、籠池泰典氏も豊中市で被災していたはずだ。電話で連絡をとると、家具が一切ないので大丈夫でしたわ、とのこと。大方の取材を終えて籠池氏宅に見舞いにうかがって、森友のその後の話を聞く。 ・・・ログインして読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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