2018年08月03日
7月17日(火) 「報道特集」の定例会議。何も頭に入って来ない。夏風邪の咳が止まらなくてまいった。その後、雑件整理。その昔、大好きな女優の桃井かおりさんが「くよくよしてる暇があったらパックしなさいよ」と言っていたのが、とても気に入っていて、僕の場合は、咳が止まらないくらいで、くよくよしている場合は、映画をみることになるのだった。
まずは知人に薦められていたレバノン映画『判決、ふたつの希望』をみる。これは実によくできた映画だ。レバノン内戦時、パレスチナ人とキリスト教系のレバノン人との間で激しい対立があった。というより、レバノン内戦とはそのようなレバノン国内に住む隣人同士の武力衝突、紛争だった。当時、僕はベイルート市内に入ったことがあるが、市内が支配勢力によって分断され、移動するにもあちこちに検問があった。映画は、市民同士のささいな罵りあいから、宗教、文化、民族を背負った市民のあいだの分断・対立の法廷劇に発展する。戦場としての法廷。「難民は災禍だ」「極右が難民を語るな」「裁判長の私に防弾チョッキを着せる気?」。ぽんぽんと飛び交う本音の言葉にどんどん引き込まれてしまう。徐々に過去のジェノサイド=虐殺の記憶が浮き上がってくる。現在は過去の集積だ。この映画は現在と向き合っている。
見終わったところにKさんから電話が入り、これからピーター・ブルックの、50年前、1968年につくられたベトナム戦争をめぐる映画の試写会をやるから来ませんか、とお誘いを受ける。すぐに局を飛び出した。『テル・ミー・ライズ』。ピーター・ブルックはそう簡単に解答なんぞ用意しない。50年たっても全く色褪せない最「前衛」の実験精神に感嘆する。嬉しくなって、その後、TBS元アナウンサーの宮内鎭雄さんが激賞していた邦画『カメラを止めるな!』まで見てしまう。わはは、これは楽しい映画だ。咳が止まっていたならば、こんなに映画をハシゴでみないもんなあ。咳の効用。
7月18日(水) 朝、体調が悪いのを押して泳ぐが、すぐにグロッキー。やはり咳が止まらないのだ。くよくよしている暇があったら映画をみろ。ドイツ映画の『はじめてのおもてなし』をみる。深刻な難民問題をこんなふうに見せてくれる映画。毎日新聞のコラム原稿。オウム死刑囚の死刑執行報道をめぐって。
夜、日本記者クラブHさんの送別会。田中均氏の日本記者クラブでの講演がとても面白かった由。読売新聞でソ連・ロシア報道を長年担当していたKさんが亡くなられたことを、送別会の席上Tさんから知らされる。
7月19日(木) 何とかがんばって朝、再びプールへ行き泳ぐ。いつもの半分だ。けれども昨日よりはいくぶん体調が回復したか。
夕刻からA議員。それにしても、現政権のおごりたかぶりようは異様ではないか。「赤坂自民亭」の件はいろいろな意味で、この政権の正体をさらけ出す象徴的な出来事だ。だが、この出来事を最初に
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