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暑いのではない。熱いのだ!

東京五輪まであと2年。日本社会は「猛暑」に踊らされ続ける

市川速水 朝日新聞編集委員

 見過ごされた兆候は数々あるが、一例が、最高気温の高さで知られる埼玉県熊谷市だろう。

 熱中症対策が叫ばれるようになった2007年ごろから、地元百貨店の入り口に高さ4メートルの大温度計が設置された。「あついぞ!熊谷」というキャンペーンを始め、全国の注目を集めた。Tシャツやゆるキャラが人気を集めた。

拡大熊谷市に登場した巨大温度計付き看板=2007年8月15日

 しかし、実際の暑さは自慢やPRのレベルを越えていった。暑さを前向きにとらえられない人が増え、市の人口や転入者が減り続けたため、市は方針転換を迫られる。

 「あついぞ!」が市のPR文句としては使命を終えたと判断したのだろう。2017年を最後に大温度計はリニューアルされ、今年からは「あついぞ!」が撤回され、「熊谷夏の陣」という新たなキャッチフレーズになった。報道によると、市の対策が「暑さ自慢」より「暑さ対策日本一」の事業に重点を置くようになったからだという。大温度計だけは市民の要望で置かれ続けている。

 つまり、五輪誘致よりも5年以上前の2000年代前半から「暑さ」は日本の夏の恐ろしいキーワードになっていたのだ。

「暑い五輪」への嫌悪感

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

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