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沖縄を苦しめる日米地位協定の欠陥(英語版も)

なぜ反対運動は移設前や最中に展開されるのか? 背景には日米地位協定の欠陥がある

山本 章子 琉球大学講師


 約150人が住む高江は、人口1700~1800人ほどの東村の6行政区の一つで、北部訓練場によって他区から分断されるような形で東村の北側に位置する。高江というのも4つの集落の総称で、海を見下ろす緑豊かな山あいに集落が南北に点在している。パイナップルやサトウキビなどを栽培する農家が多く、高江小中学校に通う児童は全部で約20人弱、唯一の商店である高江共同売店は最近閉店した。

 北部訓練場に囲まれた高江地区は、ヘリパッド移設を知った1999年に住民総会で反対決議を行った。だが、日米両政府は2006年、高江地区周辺にヘリパッド6カ所を建設する案に合意、高江地区は二度目の反対を決議した。しかし、その翌年には、東村長がヘリパッド移設を容認する。ヘリパッドを離着陸する海兵隊機の騒音や事故に実際に苦しめられる高江と、東村の他区との温度差が露呈したのだ。

 

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  高江住民はヘリパッド工事に抗議して、たびたび工事を中断させた。だが、住民一人に通行妨害禁止を命じる地裁判決が、2014年6月の最高裁による上告棄却で確定し、翌2015年2月には完成した2つのヘリパッドが米軍に提供される。

 そうして、2016年7月に残る4つのヘリパッド建設工事が始まったとき、止めようと訓練場のゲート前に座り込んだ住民は10人前後になっていた。抵抗を続ける少数の住民を支えたのは、県内外から訪れた100~200人ほどの支援者である。高江の中でも温度差が生じたのだ。

 2016年12月のすべてのヘリパッド完成と北部訓練場の一部返還後も、ヘリパッドの存在を認めるかどうかで地域は引き裂かれたままだ。国がヘリパッド完成を急ぐあまり、通行路などが未完成のまま米軍にヘリパッドを引き渡した結果、米軍車両が高江の集落の中心を通る狭い道を行き来し、住民の移動を妨げるようになった。沖縄防衛局は高江区長の要望を受けて、2018年7月からようやく道路改修工事の準備に入った。だが、ヘリパッドを認めない住民たちは、今度は道路工事阻止の座り込みを計画している。 

日米地位協定の欠陥

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筆者

山本 章子

山本 章子(やまもと・あきこ) 琉球大学講師

1979年北海道生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。著書に『米国と日米安保条約改定ー沖縄・基地・同盟』(吉田書店、2017年)、『米国アウトサイダー大統領ー世界を揺さぶる「異端」の政治家たち』(朝日選書、2017年)など。

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