高橋茂(たかはし・しげる) ネット選挙コンサルタント
1960年生まれ。2000年の長野県知事選挙をきっかけに、電子楽器の開発エンジニアから政治におけるインターネット活用のスペシャリストとなる。映像制作やドローン活用、政治家向けの自費出版事業にも取り組む。著書に『マスコミが伝えないネット選挙の真相』(双葉社)、『電網参謀』(第一書林)など。、株式会社VoiceJapan代表取締役。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
選択肢のなさが支える安倍支持率。カギを握る保守層を取り込める国民民主党の今後
朝日新聞が8月4、5日に実施した世論調査において、国民民主党は、またしても支持率が1%だった。兄弟政党とも言える立憲民主党は6%で、前回の調査から2ポイント落とした。一方、自民党は36%で、前回よりも2ポイントアップしている。
国民民主党は、5月7日現在、衆議院議員39人、参議院議員23人の計62人であり、国会議員の数が4人になってしまった社民党と同じ支持率というのは、情けないとしか言いようがない。来年(2019年)の統一地方選挙まで、あと8ヶ月程度しかなくなってきて、参院選までも1年を切っている。候補者は気が気じゃないだろう。
私のまわりでは、立憲民主党に公認願いを出したという話はよく聞くが、国民民主党に公認願いを出したという話は聞かない。それはそうだろう。支持率1%の政党に好き好んで公認願いを出すとは思えない。
しかし、事態は、国民民主党の支持率を笑ってすむほど甘くはない。立憲民主党もまた、支持が伸びていないのだ。
今回の支持率6%は、昨年の衆院選前にゴタゴタが起きていたころの民進党並みとなってきている。原因として考えられるのは、一部で強い支持層がいるものの、国民に支持が広がっておらず、衆院選のころの熱気が冷めてきていることだ。
もともと、立憲民主党の支持者は中高年層に多いと言われているが、そこから広がりがない。さらに、共産党から流れてきた支持者の一部も共産党に戻ってしまっている。立憲民主党の支持者を広げるには、無党派層を取り込んでいくしかないのだが、今のところ、うまくいっていない。
振り返れば、かつての民主党は右から左まで様々な意見を持つ政治家の集まりだった。そのため、「まとまりがない」と言われ、実際、“内ゲバ”が起きてしまったのが、存続することができなくなった理由でもある。
そのうち、「左」の立場に近い議員が中心となり結党されたので、立憲民主党はどうしても共産党や社民党に近くなってしまう。その結果、保守的な考えを持つ国民の「行き場」にはならない。
確かに原発には反対だ。でも、憲法改正については、検討してもよいのではないか。そう考える国民もいる。与党に対して反対ばかりではなく、もっと議論を尽くせないかと考える国民も多いだろう。
「まともな議論も避けるような与党自民党が、強行採決によってゴリ押しで欠陥法案を通そうとするなら、こちらも強硬な手段を取る必要がある」という立憲民主党の言い分は、理解できないわけではない。だが、そもそも数の上で圧倒的な差をつけられている以上、強硬手段に打って出たところで、法案は可決されてしまう。そうであれば、少しでも修正し、国民にとってよりよい法案をつくるよう議論を進められないかというのも、また理のあるころではないか。
「実は、反対しているのは一部の法案である。それが目立つので、すべてに反対しているように見えるかもしれないが、多くの法案には賛成して成立させている」という言い分もあるが、そういう姿は残念ながら国民には見えない。自らの情報発信チャンネルを育てずに、マスメディアに頼っていては、「いつも反対して文句を言っている」政党というイメージしか、国民には発信できない。
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