メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

北東アジア非核化構想の旗、日本は掲げよ

被爆国でありながら米国の「核の傘」に依存せざるを得ないジレンマを打開するための道

高橋 浩祐 国際ジャーナリスト

 「北東アジア非核兵器地帯」とは何か? それは核兵器の開発や製造、配備などを禁止し、核兵器による攻撃や威嚇も禁止された地域のことである。

 1990年代半ば以降、研究者やNGOからさまざまな「北東アジア非核兵器地帯」構想が提唱されてきた。日本と韓国と北朝鮮を非核兵器地帯とし、この3カ国に米国、ロシア、中国の3カ国が核攻撃や威嚇をしない「スリー・プラス・スリー」構想を基本とする。1945 年 8 月9日に被爆した長崎医科大学を基にする長崎大学内に、2012年4月に設立された核兵器廃絶研究センター(RECNA)が、この研究プロジェクトの一大拠点である。

 「非核兵器地帯なんて、リアリズムに欠け、実現など絶対に不可能」「北東アジア非核化構想は夢物語」といった冷めた見方もあるかもしれない。しかし、実際には、南半球の陸地はすでにほとんどすべてが「非核兵器地帯」だ。数にして実に110以上の国・地域。具体的には、南極、中南米、南太平洋、東南アジア、アフリカ、中央アジアの6地域が条約化している。

RECNA主催の会議で北東アジア非核化、核軍縮実現を話し合う研究者ら=2014年9月14日 拡大RECNA主催の会議で北東アジア非核化、核軍縮実現を話し合う研究者ら=2014年9月14日 

「核の傘」に入らないアメリカの同盟国も

 このうち、ASEAN(東南アジア諸国連合)の10ヵ国が署名、批准したバンコク条約(東南アジア非核兵器地帯条約)には、アメリカの同盟国であるタイとフィリピンが加盟している。また、南太平洋の13カ国・地域が署名、批准したラロトンガ条約(南太平洋非核地帯条約)にも、アメリカの同盟国であるオーストラリアとニュージーランドが含まれている。

 非核政策を採用するニュージーランドは1985年、アメリカ軍の核搭載艦の寄港を拒否した。このため、アメリカはニュージーランドの防衛義務を停止したが、2010年に当時のヒラリー・クリントン国務長官がニュージーランドを訪問し、両国関係を正常化した。また、ニュージーランド、タイ、フィリピンは核兵器禁止条約にも署名している。

 アメリカの同盟国だからと言って、常にアメリカの核の傘に入らなくてもいいのである。

 このほか、北朝鮮の隣国であるモンゴルが「一国非核地位」を宣言。アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の核保有5大国が2012年9月、モンゴルの非核兵器地位を尊重し、それに背くようないかなる行動も取らないことを誓約する共同声明に署名したという例もある。

日韓朝の非核化を目指した民主党政権

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

高橋 浩祐

高橋 浩祐(たかはし・こうすけ) 国際ジャーナリスト

英国の軍事専門誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」東京特派員。1993年3月慶応大学経済学部卒、2003年12月米国コロンビア大学大学院でジャーナリズム、国際関係公共政策の修士号取得。ハフィントンポスト日本版編集長や日経CNBCコメンテーターを歴任。朝日新聞社、ブルームバーグ・ニューズ、 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、ロイター通信で記者や編集者を務める。

高橋 浩祐の記事

もっと見る