メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

無料

「政策政党」という夢と実情

「杉田LGBT寄稿問題」への対応に見る自民党の本質(上)

佐藤信 東京都立大学法学部准教授(現代日本政治担当)

 杉田議員はかつて日本維新の会の所属議員として当選したことがあるが、昨年の衆院選では自民党に鞍替えして、比例中国ブロックで復活当選した純然たる自民党国会議員である。この問題について、自民党の要たる二階俊博幹事長は24日、「人それぞれ政治的立場、色んな人生観もある」として静観の立場を採った。もっとも、自民党がどんな政治的立場も、人生観も受け入れられるわけはない。彼女の見解は自民党の政見の「幅」に入ると表明したのだ。

 自民党はかつてあらゆる市民の支持を集めようとする観点から「包括政党」と呼ばれた。近年も基本的には世論に配慮することによって、「一党優位」を築き上げてきた。その自民党が世間の批判を敵に回してなお、この杉田LGBT寄稿問題に静観の姿勢を崩さなかったことは、それ自体驚きであった。そこに、自民党の本質を観(み)た者が多いのも、宜(むべ)なるかなという気がする。

公約にはあるけれど……

杉田水脈衆院議員の議員辞職を求め、自民党本部前で抗議活動をする人たち=2018年7月27日拡大杉田水脈衆院議員の議員辞職を求め、自民党本部前で抗議活動をする人たち=2018年7月27日

 もっとも、メディアで採り上げられ、次第に火が燃え広がると、党もさすがに静観していられなくなった。自民党は8月1日、「自由民主党」名義で、杉田の見解は党の方針とは異なるとして、以下のような文章をウェブサイトに掲載した。

 「今回の杉田水脈議員の寄稿文に関しては、個人的な意見とは言え、問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現があることも事実であり、本人には今後、十分に注意するよう指導した」

 杉田議員は「衆議院議員」という肩書で寄稿しており、それを「個人的な意見」として片付けていいのか……など、いろいろと引っかかる文章ではあるが、先を急ごう。

 確かに、昨年の自民党衆院選の公約のなかには、小さい文字で羅列された公約の一つとして性的指向・性自認について「多様性を受け入れていく社会の実現を図ります」という文言がある。

当選すれば、言いたい放題?

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

佐藤信

佐藤信(さとう・しん) 東京都立大学法学部准教授(現代日本政治担当)

1988年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士後期課程中途退学。博士(学術)。東京大学先端科学技術研究センター助教を経て、2020年より 現職。専門は現代日本政治・日本政治外交史。著書に『鈴木茂三郎 1893-1970』(藤原書店)、『60年代のリアル』(ミネルヴァ書房)、『日本婚活思想史序説』(東洋経済新報社)、『近代日本の統治と空間』(東京大学出版会、近刊)など。

佐藤信の記事

もっと見る