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田中均氏が問う自民党総裁選

日本社会を覆うガバナンスの崩壊。権力者の選び方、チェックの仕方を見直したい

田中均 (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

拡大安倍晋三首相=2018年8月11日、山口市
 まず権力者になる政治家の選ばれ方だ。

 政治家は優れた道義心と国家に奉仕するという使命感を持ち、国民に信頼されなければならない。そのような資質を持った指導者ならば、権力行使は自制すべしと認識するはずだ。

 ところが日本では先進民主主義国に殆ど例を見ないほど多くの二世議員、三世議員を輩出している。中には政治家であることを平気で「ファミリービジネス」といって憚らない議員がいる。勿論、中には親の職業を通じて国家に奉仕する使命感をより強くした二世議員もいるのだろうが、多くは地域での知名度、後援会組織といった看板を背負うことにより選挙を容易に戦えるという利点から世襲するのだろう。

 そして、過去においては自民党の派閥は、議員の教育という重要な任務を担っていた。今日、そのような機能は薄れてしまった。その結果、本来は首相としての資質や使命感、信念、政策が問われる競争の場である自民党総裁選挙に自分の旗を立てて立候補をしようという志を持つ政治家も数少なくなってしまった。それどころか派閥の大半が立候補者も出揃わない段階で総裁三選支持を表明する始末である。

 一方、支持しない派閥には「冷や飯を食わせる」といった乱暴な議論が横行している。三年間この国の舵取りを任せる首相を選ぶには慎重に候補者の資質と政策を判断しなければならないはずだ。今日の派閥は先を争って支持を表明することによって人事などでの直接的な見返りが得られると考えるのだろうか。

 米国の大統領予備選挙や英国の党首選挙が個人の資質が問われる厳しい競争の場であるのに比べても見劣りしない選挙戦が始まって欲しいと思うが、これは幻想に過ぎないのか。

権力へのチェックが働かない

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筆者

田中均

田中均(たなか・ひとし) (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

1969年京都大学法学部卒業後、外務省入省。北米局審議官(96-98)、在サンフランシスコ日本国総領事館総領事(98-2000)、経済局長(00-01)、アジア大洋州局長(01-02)を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、2005年8月退官。同年9月より(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー。2010年10月に(株)日本総合研究所 国際戦略研究所理事長に就任。著書に『日本外交の挑戦』(角川新書、2015年)、『プロフェショナルの交渉力』(講談社、2009年)、『外交の力』(日本経済新聞出版社、2009年)など。

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