どこかおかしい、文科省が出したオリパラ期間中は授業・試験は控えるようにとの通知
2018年08月31日
はたして、この「特例措置」通知を受けて、明治大、立教大、国士舘大などが2020年の五輪期間中の授業、試験の取りやめを決定した(以下、大学に関する「」の記述は、大学ウェブサイトから)。
たとえば、明治大は「自国でのオリンピック開催というまたとない機会に、本学学生がボランティア活動など、様々な形で大会に参画できる機会を奪ってしまう可能性がある」(7月26日)として、五輪期間中の授業を取りやめ、穴埋めとして同年のゴールデンウィークの祝日をすべて授業に振り替えるという。
立教大も「学生のボランティア活動をはじめとする『東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会』への多様な関わりを支援するため」(8月9日)休講に。国士舘大も「学生の皆さんがボランティアに参加しやすいよう2020年度の学年暦では以下の特別措置を準備しています。奮って応募してください」(18年8月9日)と呼びかけている。
「特例措置」の通知以前から、東京五輪シフトする大学もあった。首都大学東京である。
同大学は1年前から五輪期間中は授業、試験を行わないことを決め、ボランティアを積極的に呼びかけている。いわく、「大会に係るボランティア活動への参加を奨励します! 学生が大会に係るボランティア活動に参加することで、オリンピックという大イベントの運営に貢献できたという達成感を味わうことができます」(2017年、8月30日)
東京大、一橋大、慶應義塾大、早稲田大、法政大などは「特例措置」に応じた動きを見せていない。とはい、今後、東京五輪の期間中は休校にして、学生にボランティア活動をすすめる大学が増える見込みだ。
どうして、こんなことになるのか?
文科省の「特例措置」には、大学にとって、従わなければならないと思わせるものがあるからだ。もちろん、無視しても何らペナルティーは科されない。しかし、現実には、「監督省庁の言うことはきいたほうがいい。そうでなければ、たとえば、学部学科の認可申請で不利になる。私学助成でもプラスには働かない」というプレッシャーを、大学はふだんから感じているのだ。
実際、文科省の役人出身の大学事務職員で、文科省の通達はできる限り遵守するように指南する人がいる。覚えがめでたくなるし、印象も良くなるという理由だ。
しかし、こと東京五輪に関して言えば、文科省の通達にいちいち耳を傾ける義理はないのではないか。
東京大学大学院情報学環学際情報学府の佐倉統教授はこうツイートしている。
「大学はオリンピックのためにあるわけではない。学生個人がボランティアするのは勝手だし、場合によっては欠席扱いしないぐらいはありうると個人的には思う。しかし、大学が組織として学事暦をオリンピックに配慮したものに変更することを許容する通知を文科省が出すなんて言語道断だろう」(2018年7月28日)。
まったくそのとおりである。
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