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マクロン政権を襲った目玉大臣の電撃辞任

「大サプライズ」で就任したユロ環境連帯移行相は辞めるときもサプライズ!

山口 昌子 在仏ジャーナリスト

 就任以来、政府とのズレがほかにも生じ、ユロを忸怩(じくじ)たる思いにさせたのは、原発問題だけではない。ガン発症の要因とされる除草剤グリホサートの禁止問題もそうだ。欧州連合(EU)の5年後禁止に対して、ユロの主張でフランスは3年後禁止を決めたが、議会での審議の結果、殺虫剤全体の禁止法の中に組み込まれ、実現時期が曖昧(あいまい)になった。

 ユロは、「フランスは他の国に比較して、(環境分野で)少しの進歩をしたが、少しの進歩は十分だろうか。答えは『ノン』だ」と述べ、辞任の理由として、大臣としての成果に不満だったことを告白した。

 もっとも成果に関しては、客観的に見て、「少しの進歩」ではなく、「かなりの成功」を収めているともいえる。最大の成果は、パリ近郊ノートルダム・デ・ランドの空港計画の撤廃だ。

 パリ郊外にはシャルル・ドゴール国際空港とオルリー空港がある。新空港建設の必要性などが十分に検討されないままオランド政権時代に建設が決まった。環境保護派や地元の農民らが反対運動を展開していたが、ユロの決断で1千㌶の広大な土地が農業用地として人口化から擁護され、国民の過半数以上からも支持された。

 フェッサンエイムの原発も、石炭火力発電所と同様に4年以内の閉鎖を決めた。4年間で6億ユーロ(約780億円)かけて12品目の使い捨てプラスチック製品の禁止を含む90の措置や、給食施設におけるオーガニックまたは地元産の食材使用率の50%への引き上げ、さらに太陽熱プランの拡大なども決めている。

 こうした成果の影には、それぞれの分野における強力なロビイストの圧力や、反対を押し切っての決断と勇気が必要だったことは言うまでもない。ユロを「理想主義者」「非現実主義者」と批判する層が、彼の辞任で障害物がなくなったと、祝杯を挙げても不思議はない。

フランスで最も古いフェッサンエイム原発拡大フランスで最も古いフェッサンエイム原発

マクロン大統領の支持率には大打撃

 マクロン大統領は、「彼の決意を尊重する。15カ月前に彼を選んだのは、自由な人間だからだ」と理解を示し、ユロの「仕事を評価している」とも言明した。「彼の参加を常に当てにしている」とも述べ、今後も環境政策でユロの意見などを尊重する方針を示し、ユロとはケンカ別れでないことを強調した。

 閣僚中、人気ナンバーワンのユロの辞任は、支持率が40%台と低迷中のマクロンにとっては大打撃だ。

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筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) 在仏ジャーナリスト

元新聞社パリ支局長。1994年度のボーン上田記念国際記者賞受賞。著書に『大統領府から読むフランス300年史』『パリの福澤諭吉』『ココ・シャネルの真実』『ドゴールのいるフランス』『フランス人の不思議な頭の中』『原発大国フランスからの警告』『フランス流テロとの戦い方』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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