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暗闇の札幌でみえたもの

空前絶後のブラックアウトを、この国の社会契約のあり方を考える契機に

吉田徹 北海道大学教授

停電で消えた「さっぽろテレビ塔」の照明=2018年9月6日、札幌市拡大停電で消えた「さっぽろテレビ塔」の照明=2018年9月6日、札幌市

「社会」の別のあり方がみえる災害時

 北海道胆振東部地震は、地域で観測史上の最大震度を記録し、数十名もの尊い命が奪われたというだけでなく、全域停電(ブラックアウト)という稀有(けう)な事態が生じた災害としても記憶されるだろう。

 私が住む札幌市内が停電に陥ったのは地震から30分ほどが経ってからだったが、それから市内のほぼ全域で電力が回復するまで、実に40時間近くを要した。

 幼少の頃、停電は少なからずあったように記憶しているし、海外の先進国でも停電が起こることは珍しくないから、停電自体はさほど驚くべきことではないかもしれない。とはいえ、今の日本で、数百万の人口を抱える広大な地域が、一晩以上も暗闇に覆われるという事態は、やはり特異なことと言っていいだろう(なお、台風の被害を受けた関西の一部も停電中と聞く)。

 だからこそ、そこには社会の別のあり方がみえてくる。もっといえば、この国の「社会契約」のあり方が透けてみえるのだ。

 「社会契約」といって難しければ、私たちが暮らす社会と、その社会を構成している一人ひとりとの関係のあり方だ。哲学者のルソー風に言えば、自分がどのようにして全体の不可分の一員となるのか、と言い換えてもいいかもしれない。

文明社会以前の状態に

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筆者

吉田徹

吉田徹(よしだ・とおる) 北海道大学教授

1975年生まれ。慶応義塾大学卒。東京大学大学院総合文化研究家博士修了。学術博士。専門は比較政治、ヨーロッパ政治。著書に『ミッテラン社会党の転換』(法政大学出版局)、『「野党」論』(ちくま新書)、『ポピュリズムを考える』(日本放送出版協会)、共編著に『ヨーロッパ統合とフランス』(法律文化社)、『政権交代と民主主義』(東京大学出版会)など。