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被災外国人たちの大阪北部地震(前編)

言葉や文化の壁に阻まれながら被災した人たちの不安を想像してほしい

岩城あすか 箕面市立多文化交流センター 館長

 地震発生日(6月18日)の夜は何度も余震があった。とりわけ19日午前0時半ごろの余震は震度4と大きく、豊川南小学校の避難所へは多くの外国人避難者が押し寄せた(もともとこの地域は外国籍住民の居住率が5%を超える外国人集住地域である)。

 避難所の担当職員に聞くと、午前0時の点呼で避難者数が40人だったのに対して、午前1時には110人に増えた(未明には130人)。後日留学生たちに避難の経緯を聞くと、「真夜中の余震にあわてて家を飛び出たら、屋外にいるのは外国人だけ。なぜ日本人がいないのかとても不思議だった」という。そのまま屋内で夜を過ごすのも怖く、「Yahoo!」の地震情報のページから最寄りの避難所情報を入手したというケースが多かった。

拡大避難所の豊川南小学校の様子=2018年6月19日午後9時30分ごろ、箕面市(筆者撮影)
 筆者が19日午前9時30分に最初の巡回をしたところ、30人程度の避難者がいた。外国人らしき人たちから聞き取りをした結果、避難者の9割が外国籍住民だと判明。大阪大学関係者(留学生やその家族ら)が多かった。避難所で配られている災害用非常食のパンがハラル(イスラム教徒が食べても良いとされる)かどうか聞かれ、友人の安否を知りたい、領事館などから母語での情報を得たい、などの要望があった。

 大阪大学箕面キャンパス(旧大阪外国語大学)近くの避難所など、市内の他の避難所も巡回した。やはりどの避難所も発災当日の晩は数人~40人近い避難者がいたが、その半数ほどが外国人留学生や研究者(とその家族)だった。

 午後2時に再び豊川南小の避難所を訪問。市社協の職員2人と一緒に巡回し、倒れた家具を元に戻すボランティアのニーズがないかを聞いてまわった。避難者は50人ほどに増えていたが、その種のニーズは聞かれず、代わりに自宅のひび割れの写真や壊れたベランダの屋根の写真などを次々と見せられ、「この建物にいて大丈夫かどうか?」とよく聞かれた。大家さんからは「大丈夫」と言われたそうだが、少しの揺れでも既に入ったひび割れから崩壊するのではと、心の底から不安を訴えていた。

 「大きな地震は昼に来ることが多いのか?夜が多いか?」との質問も受け、驚いた。「それは誰にも予測できないけれど、夜におこった時の方が困ることが多いかもしれない」と答えた。

 あまりにも大阪大学関係者が多いので、大学の留学生関係部局へ連絡を入れ、大学内で相談窓口を設置してほしいと要望、発災4日目からは学内に2か所の相談所が設置されることになった。

 災害伝言ダイヤルの利用方法などが3言語で書かれているOFIXの防災パンフを体育館内に掲示し、「おおさか防災ネット」などの多言語での情報提供サイトや各国領事館、市HPや協会フェイスブックページなどのリンクをQRコード化したポスターも貼った。

拡大避難所の一角につくった「多言語情報コ―ナー」。一番右のQRコード化した「リンク先一覧」のポスターが最も重宝した(筆者撮影)
 午後4時半に3回目の巡回をすると、在大阪インドネシア領事が来ていた。

 1回目の巡回のときにインドネシアからの留学生が、母国語での情報が欲しいと訴えていたため、それを聞いた同僚がインドネシア領事館に電話を入れたところ、「地震に関する相談ホットラインを開設した」という。午後2時の訪問時にその情報をQRコード化して留学生たちに届けたところ、早速多数の連絡があったので避難所への差し入れとともに訪れたそうだ。

 午後5時時点で避難者は78人に増えていた(うち75人が外国籍住民だった)。また、校内にムスリムのための祈祷室が設けられていた。

6月19日午後5時現在、豊川南小学校へ避難した78人の国別内訳
中国23人 インドネシア17人 タイ11人 ベトナム10人 インド7人 マレーシア2人 エジプト1人 フィリピン1人 ウガンダ1人 ケニア1人 ネパール1人 日本3人

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筆者

岩城あすか

岩城あすか(いわき・あすか) 箕面市立多文化交流センター 館長

大阪外国語大学でトルコ語を学んだ後、トルコ共和国イスタンブール大学(院)で学ぶため、1997年~2001年イスタンブールで過ごす。通訳やマスコミのコーディネーターをしながら、1999年におきた「トルコ北西部地震」の復興支援事業にもボランティアとして関わる。現在は(公財)箕面市国際交流協会で地域の国際化を促す様々な事業に取り組むほか、重度の障碍者のみで構成される劇団「態変」の発行する情報誌「イマージュ」の編集にも携わっている。

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