被災外国人たちの大阪北部地震(後編)
普段からマイノリティの人たちを包摂するコミュニティをつくる努力が必要だ
岩城あすか 情報誌「イマージュ」編集委員

ガス安全装置の復旧作業(箕面市国際交流協会提供)
発災5日目(6月22日)の夜、箕面市国際交流協会が夜間に開催している日本語教室で聞き取りをしたときのこと。市内のガスはすべて使用可能だったにもかかわらず、ベトナムからの技術者や技能実習生が、ガスメーターの「復旧ボタン」の存在を知らず、未だに電子レンジで調理をしたり、水風呂を浴びたりしていたことがわかった。
技術者の方は日本語が読めるのだが、テレビのニュースで「(茨木市のガスは)26日までに復旧」というテロップを見て、箕面のことだと思ったそうだ。「26日を過ぎてもガスが来なかったら、協会に相談しようと思っていた。水でシャワーを浴びることはベトナムではそんなに珍しくない。暑い季節なので子どもも大丈夫だった」とのこと。
早速英語とイラストで説明している大阪ガスのホームページを見せたが、1週間後、担当職員が復旧できたかを聞くと、技能実習生の2人だけは「まだ」と答え、周囲を驚かせた。「どこにガスメーターがあるのかわからない。またメーターなどの機器類を勝手に触ってよいかわからなかったから」と話していた。結局ボランティアさんと職員が家まで出向いて復旧させた。
1週間ものあいだ、職場で誰にも話したり、相談したりしなかった、という状況に、私はかなりのショックを受けた。
彼女たちの職場は縫製工場で、50人ほど地域のパートさんたちが働いているという。そのうち外国人スタッフは、この日本語教室に通う技能実習生2人のみ。普段同じ職場で長時間一緒に働いているにもかかわらず、これほど関係性が希薄なのは、どう考えても不自然ではないか。
同じ職場や学校に外国籍住民がいる場合は、一言でも「地震で大丈夫だった? 何か困っていることはない?」と声をかけてほしいと心から思う。
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