被災外国人たちの大阪北部地震(後編)
普段からマイノリティの人たちを包摂するコミュニティをつくる努力が必要だ
岩城あすか 情報誌「イマージュ」編集委員
大阪府は大阪府国際交流財団(OFIX)を通じて「災害時多言語支援センター」を立ち上げ、発災当日から24時間体制で英語による相談サービスを実施したが、利用はごくわずかだったという。多くの外国人旅行者が地震や交通機関の乱れに戸惑いを感じていたにもかかわらず、行政情報がいかに外国人当事者から遠いかを物語っている。(下図「外国籍住民からみた情報伝達のイメージ図」参照。)
これを受け、9月4日に近畿地方で猛威をふるった台風21号に関連してOFIXが相談窓口(9言語)を設けたときは「NHK WORLD」などでも取り上げられ、相談者がかなり増えたという。多言語での広報とマスコミの力が合わさると、情報弱者の外国人へも情報は格段に届きやすくなる。マスコミは「多言語情報など誰が見ているか」と思わず、どんどん多言語情報を流してもらいたい。
この図から見ると、筆者の所属する箕面市国際交流協会も外国人当事者からはかなり遠い存在なのだが、同僚の中に多数の外国人当事者がいることが情報の収集、発信に大いに役立った。マスコミからの情報入手も大切だが、一番効果的なのはコミュニティからの「口コミ」である。
多言語情報を発信することで満足するのではなく、普段から様々な当事者コミュニティやそのキーパーソンとつながれる仕組みを整えておくことがますます重要になっている。
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