市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員
1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
第1章 日本語からのアプローチ 1.発音がカタカナ表記できる
私の職場に近い銀座や新橋では、5,6年前から外国人が目立つようになりました。爆買いやインバンウドの影響です。ある朝など、駅から会社まで歩く約20分間、中国語や英語、韓国語、東南アジアの言葉ががんがん聞こえるのに日本語が1度も聞こえないことすらあって驚きました。
駅でも街頭でも、英語や中国語、韓国語の案内が増えています。私のマンションでも、ゴミの捨て方など外国語での注意書きが貼られました。新橋でも二重にも三重にも表記されていて、ごちゃごちゃしていますね。でも時折立ち止まって、これをじっくり見るのも楽しいのです。変ですか?
例えばこの「都営浅草線」。韓国語の表記は「トエイ アサクサ」までは読みをそのまま1文字ずつ書いているのですが、最後だけ「線」の漢字語です。だから、計8文字になります。中国語だと、糸ヘンは同じでもつくりが違って「銭」「浅」みたいですね。
「京急線直通」の韓国語は、日本語風に分解すれば「ケイ キュー線 直通」となり、なぜか「京」と「急」が離れているのが、クスっと笑えてしまいます。え、変ですか?
ハングルの読み方については、数回後に詳しくやりましょう。また、「街の看板特集」もいずれ番外編でやってみるつもりです。
さて、「にわか韓国語講座」、略して「にわかん」の2回目は、カタカナ表記できるという大きな特徴についてです。
先週の繰り返しになりますが、「韓国語の基礎とは」から始めるのはこの本の本意ではありません。日本語を使いこなしているのだから、使える日本語の知識・文法は全部使ってしまおうというのが趣旨です。ですからお勧めしたいのは、韓国語ができる日本人から習った方がいいのではないかということです。
逆に日本語が上手な韓国人から習った場合、発音はとてもきれいだし、基礎からちゃんと教えてくれますが、「日本語からのアプローチ」がしにくくなるでしょう。例えば韓国語・朝鮮語が得意な在日コリアンの方がいいでしょうね。「外国語は現地で現地の人から習え」は語学の鉄則ともいわれていますが、韓国語だけは違うぞ、というのが私の考えです。
あと、書店で様々な韓日・日韓辞書が出ていますが、なるべく見出し語の後にすぐ漢字語が出ている方が後々、勉強しやすくなります。
例えばあの韓国春雨「チャプチェ」が「잡채(雑菜)名詞 韓国風春雨」などとあると分かりやすいですね。ちなみに私は○○堂の韓日・日韓辞典の表記方法に一目惚れして持ち歩いています。