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プラスチックごみ規制に出遅れた日本

グローバルな規制の主導権目指す政府、欠かせない日本自身の意識改革

六辻彰二 国際政治学者

 ただし、いまやプラスチックごみは開発途上国と先進国にまたがる問題となっている。

 先進国でもリサイクルは100パーセントでなく、1980年代から処分しきれないプラスチックごみが「再利用可能な資源」として開発途上国に「輸出」されることも珍しくなくなった。便宜的に「輸出」と呼ぶが、実際には先進国の事業者が開発途上国の事業者に対価を支払い、ごみを持ち出してもらうのである。例えば日本の場合、慶応義塾大学の大久保敏弘教授らのチームによると、プラスチックごみだけで年間500億円分以上が「輸出」されている。

 規制の厳しい土地から規制の緩やかな土地へ運び出されたごみは、開発途上国の各地で山積みにされてきた一方、その一部は海洋プラスチックごみとして他国にも還流している。日本西部では対馬海流に乗って中国沿岸や朝鮮半島から漂着する海洋ごみが増えつつある。

 一方、開発途上国では増え続けるごみ輸入を規制する動きもみられる。例えば、2017年に中国政府はプラスチックを含む24種類のごみの受け入れを年内一杯で禁止すると発表し、2018年4月にはさらに16種類のごみの受け入れを2019年末までで禁止する方針を打ち出した。

 中国は世界屈指のごみ輸入国で、2016年段階では730万トン、世界全体に出回るごみの約56パーセントを各国から引き受けていた。プラスチックごみの問題は海洋汚染の文脈で語られることが多いが、大気、水質、土壌の汚染が社会問題化するなかで中国政府がごみ輸入を禁止したことも、各国にプラスチックごみの規制に向かわせる原動力になったといえる。

出遅れた日本の巻き返し

 ところが、日本ではグローバルな課題になりつつあるプラスチックごみ問題への関心が環境保護団体などを除いて総じて低く、政府の対応も出遅れが目立った。今年6月のG7サミットで英、仏、独、伊、加の5カ国が提案した、海洋プラスチックごみの規制に向けた「海洋プラスチック憲章」に、日本はアメリカとともに反対している。

 この理由として政府は「国民生活や産業への影響」をあげたが、 ・・・ログインして読む
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筆者

六辻彰二

六辻彰二(むつじ・しょうじ) 国際政治学者

1972年生まれ。博士(国際関係)。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。アフリカを中心に世界情勢を幅広く研究。著書に『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、共著に『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)など。その他、論文多数。Yahoo! ニュース「個人」オーサー、NEWSWEEK日本版コラムニスト。

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