森田浩之(もりた・ひろゆき) ジャーナリスト
NHK記者、『ニューズウィーク日本版』副編集長を経てフリーランスに。主にメディアやスポーツをテーマとして各媒体に執筆している。立教大学兼任講師(メディア・スタディーズ)。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)メディア学修士。著書に『メディアスポーツ解体』『スポーツニュースは恐い』など。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
「上意下達」カルチャーを拭いきれるか? 平成後の東京オリンピックが大きな試金石だ
平成が終わろうとする今、スポーツ界に不祥事が相次いでいる。
レスリングのパワーハラスメント、アメフトの悪質タックル指示、ボクシング連盟会長の不透明な組織統治や暴力団関係者との交際、体操のパワハラ……。これだけ不祥事が相次いで噴き出すと、新聞を開くたびにスポーツ界の新たなハラスメントが報じられていても驚かなくなってくる。
なぜ今、スポーツ界に不祥事が相次いでいるのか。
ハラスメントという言葉は平成の30年の間に定着し、日本社会をゆっくりとではあるが変えてきた。そんななかで、ハラスメントを伴う「上意下達」のカルチャーが最後まで無批判に残っていたのがスポーツ界だったのだろう。平成が幕を閉じる直前になって、ようやくそこに変化が訪れたといえるかもしれない。
だとしても、平成が終わった後に開かれる2020年の東京オリンピックは、その変化を受け継ぐことができるのか。開幕まで2年を切った今、指導者と選手の間の上意下達だけでなく、政府や大会組織委員会が国民に対してさまざまな注文をつける場面が増えてきた。
不祥事が続く一方で、東京オリンピックを間近に控える今、日本のスポーツ文化は大きな過渡期に差しかかっている。これからの方向性を決めるのは、東京オリンピックをはさんだ今後数年かもしれない。
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