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喜界島に生まれて(5)ウガンダの星空を見上げて

ウガンダと喜界島には共通点が多かった。風景も踊りも人々の気質も。なぜだ?

住岡尚紀 明治学院大学生

 ウガンダの写真を喜界島に人に見せると「昔の島とおんなじだ」と言われる。

 街は「カオス」だ。人や車、牛や鶏が縦横無尽に渡り歩く。信号もなければ、横断歩道もない。ましてや舗装された道路はほんの一部。

 ある朝、僕は大事な会議に備えてネクタイにジャケットでいつもより15分早く家を出た。そして、いつ来るか知れぬ相乗りタクシー(日本で言うバス、TOYOTAのハイエース)を待っていた。

 待つこと10分。クラクションを鳴らし、車が近づいてくる。ドアから男が身を乗り出し、何やら合図しながら叫んでいる。

 男「fdibl?:”&カンパラFa¥:」

 現地語はほとんど解せないが、首都カンパラへ向かうということはわかる。僕は行き先を告げる。

 男「1500」(25円くらいか)

 僕「OK」

 交渉成立だ。この男はconductorと呼ばれ、運転手の代わりにお金と客を集めるのが仕事だ。

 15人乗りなのに、中にはすでに16人。すし詰めだ。それでも男は乗れと言う。補助席にお尻を滑らせる。外から押し込むようにドアが閉まる(暑い…汗臭い…)。

 動き出す。男は車につかまっている。ゴミ収集者のおじさんのようだ。よく揺れる。そうこうしている間に停車する。僕は1番扉側にいるので誰かが降りるときは一旦降りる。2人降りた。一つ後ろの補助席に移るが、依然すし詰めだ。

 再び停車した。僕は席を立ち段差に足をかけた。その瞬間、急発進した。

 バランスを崩し慌てる僕。急停止する車。ん? 太ももの辺りに優しく冷たい風が…。手を伸ばすと、ズボンに穴が開いている。

 僕はオフィスへ着くまで多くの人に後ろ指を指された。その経緯を上司に伝えると、彼は笑顔で言った。「スミ! This is Africaさ、ハハ」

お互いの心がバリアフリー


筆者

住岡尚紀

住岡尚紀(すみおか・なおき) 明治学院大学生

1995年喜界島生まれ。鹿児島県立喜界高校を卒業後、明治学院大学に入学。2015年に国連ユースボランティアでウガンダ共和国のUNDPに派遣。2016年、内閣府次世代グローバル事業世界青年の船に参加。バイトを4つ掛け持ちしながら俳優業にも挑戦中。中高の社会科と英語科の免許取得を目指し在学中。将来の夢は「島と世界を繋ぐジャーナリスト」。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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