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「安倍外交」はレガシーをつくれるか?

高橋 浩祐 国際ジャーナリスト

 吉田政権のサンフランシスコ講和条約、鳩山一郎政権の日ソ国交回復、岸政権の日米安保条約の改定、佐藤政権の沖縄返還、田中政権の日中国交回復、小泉政権の日朝平壌宣言など、歴代政権は戦後処理や近隣諸国との関係改善で、戦後日本の礎と針路を築いてきた。

 2012年12月に政権トップの座に返り咲いた安倍首相は、経済面での「アベノミクス」とともに、「富国強兵」策を着実に実行してきた。

 国家安全保障会議(NSC)の設置。一国平和主義を転換する「積極的平和主義」を基本理念に掲げた国家安全保障戦略(NSS)の策定。新防衛大綱の作成。武器輸出を厳しく制限してきた「武器輸出三原則」の緩和。アメリカ政府からの圧力のもと、外交や防衛などの機密情報が管理される特定秘密保護法も制定した。さらに、国論が二分するなか、集団的自衛権の行使容認にも至った。民主党政権下で削減された防衛予算も一気に増額してきた。

 賛否両論があるにせよ、台頭する中国や緊迫する北朝鮮情勢を念頭に安全保障政策を強化したことは、安倍首相のレガシーのひとつと言えるかもれない。

集団的自衛権の行使容認について、記者会見で説明する安倍晋三首相=2014年7月1日拡大集団的自衛権の行使容認について、記者会見で説明する安倍晋三首相=2014年7月1日

評価できるTPP発効に向けた努力

 また、英国の欧州連合(EU)離脱や、アメリカ第一主義を掲げるトランプ政権の誕生で多国間主義が揺らぎ、2国間の紛争に陥りがちな世界にあって、アメリカが抜きでも環太平洋連携協定(TPP)発効に向けて尽力してきたことは、率直に評価ができるだろう。

 世界1位と2位の経済大国である米中が、あたかもチキンレースのごとく、激しい追加関税を課す貿易戦争を繰り広げるなか、日本はTPP交渉を牽引してきた。貿易立国として、多国間の貿易自由化を目指すTPPを守ることは、反グローバル化を押しとどめる重大な意味も持つ。実際にTPPが発効されれば、安倍外交の立派なレガシーになるだろう。

保守のスタンスから中道寄りに

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筆者

高橋 浩祐

高橋 浩祐(たかはし・こうすけ) 国際ジャーナリスト

英国の軍事専門誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」東京特派員。1993年3月慶応大学経済学部卒、2003年12月米国コロンビア大学大学院でジャーナリズム、国際関係公共政策の修士号取得。ハフィントンポスト日本版編集長や日経CNBCコメンテーターを歴任。朝日新聞社、ブルームバーグ・ニューズ、 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、ロイター通信で記者や編集者を務める。

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