日本人よ、韓国人よ、在日コリアンよ、私は私だ!
日韓境界人は、面白く、面倒くさい。ニュートラル作戦が得策と思う今日此の頃。
藏重優姫 韓国舞踊講師、仁荷工業専門大学語学教養学科助教授

韓国伝統舞踊「太平舞」を舞う筆者。シャーマンのリズムに乗って舞うのが特徴
大阪で生まれた私
「自分が誰であるのか」という自問自答。
「普通の人はあまりしないんだ…」と、気づいたのは、結構大人になってからのことです。私は二十歳くらいまで、よくこの自問自答をしていました。
日本人と韓国人の間に生まれるダブルは、今は全然珍しくもないですよね。ましてやテレビではハーフ(ダブル)タレントなるカテゴリーさえあるほどです。
でも、40年くらい前は「私は韓国人のお母さんがいるんです。韓国人なんですよ!」と自ら明らかにする子は、私の周りにはいませんでした。そんな中、私は「私は韓国人のお母さんがいるんです。韓国人なんですよ!」と振れ回っていたのです。韓国人であることが「すごい!」と自慢に思っていました。変わっています。
まして、私は人一倍気が強く、浮いていました。そのせいで、先生から特別目をかけてもらって、良くしてもらった記憶があります。
ありがたいことに、私が生まれたのは大阪で、同和教育、外国人教育が盛んな地域で、社会問題にも敏感に積極的に取り組む良い先生たちに恵まれました。しかし、周りの子たちからすると、イキっていて、勝ち気で、先生からも好かれている「朝鮮人」の私が、いじめたくなる存在だったというのも、今では理解できます。
低学年の時によく口喧嘩をした男の子がいました。その子の最後の決め台詞は決まって「朝鮮人帰れ~! なんで日本におんねん!」でした。
「出た、出た…」と私はしめしめとばかりに担任の先生にチクる。その子はめっちゃ怒られる。その繰り返しです。「朝鮮」関係で私をいじめた暁には、彼らは必ずこっぴどく怒られたのです。
「人の名前と顔を覚えていない!」と普段周りから注意されている私が、その子の顔と名前だけは今でも覚えているのですから、よほど根に持っていたことが分かります。
距離を置くことにした私