石川智也(いしかわ・ともや) ジャーナリスト・朝日新聞デジタル「&」副編集長
1998年、朝日新聞社入社。岐阜総局などを経て社会部でメディアや教育、原発など担当した後、2018年から特別報道部記者、2020年4月から朝日新聞デジタル「&」副編集長。慶応義塾大学SFC研究所上席所員を経て明治大学感染症情報分析センターIDIA客員研究員。著書に「それでも日本人は原発を選んだ」(朝日新聞出版、共著)等。ツイッターは@Ishikawa_Tomoya
自衛隊合憲論を前提にした「2項維持(安倍首相)vs.削除(石破氏)」に意味はない
日本のメディアは昔もいまも、5月3日が近づくと9条改正への賛否を問う世論調査をする。ここ十数年、改正反対は6割ほどで変わっていないが、これを見て「9条をまもりたい人がまだ多数を占めている」と評価するのは正確性を欠く。具体的な改正案を示さない無意味な問い、という意味だけではない。どういうことか。
この数字の内実は、読売新聞が2015年に行った、朝日新聞、毎日新聞とは異なる趣向の設問が参考になる。
戦争を放棄し、戦力を持たないとした憲法9条をめぐる問題について、政府はこれまで、その解釈や運用によって対応してきました。あなたは、憲法9条について、今後、どうすればよいと思いますか――。
回答は以下の通りだった。
A:解釈や運用で対応するのは限界なので、9条を改正する 35%
B:これまで通り、解釈や運用で対応する 40%
C:9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない 20%
改正反対の6割という数字は、BとCの合計と合致する。ただ、この調査でも、回答者が9条をどのように解釈して答えたのか、あるいは9条に何を望んでいるのかは、まだはっきりとわからない。
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