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総裁選と「新潮45」で考えた政治をよくする方法

小池みき フリーライター・漫画家

しかし、それを念頭に置いて総裁選を見たときの、このなんとも言えないモヤモヤ感はなんだろう。私の目には、誰も「真実を語ること」に熱心なようには見えなかった。

 報道は、それなりに見ていたと思う。討論中継もチェックしていたし、各新聞の報道も気にしていた。WEBRONZAもハフィントンポストも、iRONNAも東洋経済オンラインも見て、総裁選関係の記事はなるべく拾うようにした。Twitterでも、保守系のアカウントを集めたリストとリベラル系のアカウントを集めたリストを作って、完全に異世界である二つのTLを交互に見ていた。討論中継中など、両方のTLからそれぞれ「安倍/石破は目が泳いでいて、ろくに質問に答えられていない。これで石破/安倍の立派さが際立った」というツイートが流れてきて笑った。

 それだけやっても、いやだからこそというべきか、私の視界に入る人たちの多くが、「特に真実を語る・語られる必要を感じていない」ことを痛感したのである。

 安倍晋三首相にしても石破氏にしても、それぞれの支持者たちはTwitterなどで「安倍さんは/石破さんは誠実に話している」と評価していたが、私には心ここにあらずにしか見えなかった。というか、相手に何かを本当にわからせるつもりで話してはいないように感じられたのである。候補者二人だけでなく、その支持者や周りの政治家たち、総裁選について語る人たちにもおおむね同じ印象を抱いた。

 その印象を決定づけてくれたのはもちろん、安倍首相と石破氏のどちらを支持するか、投票ギリギリまで明かさなかった小泉進次郎氏だ。彼は「どちらの候補を支持するか」というマスコミの質問に対してこう答えていた。「真意というものは、語れば語るほど伝わらなくなる部分もある」。

 この言葉をはっきり口にしたのは進次郎氏だけだが、おそらく誰も彼もがそう思っていたのだろう。「おまえらに言ってもどうせ理解しないじゃないか。だから本気では言わない」と。

 だからなのかどうなのか、総裁選に対しての印象は全然残っていない。演説を聞いても、投開票後に一気に出た総評のような記事を読んでも、どんどん頭から実際の記憶が抜け落ちていってしまう。

 編集者氏から、「総裁選について書いてほしいんです。政治の専門家ではない、若い世代から見ての違和感などを率直に指摘してください」と言われていた私は困った。書こうにも、何の印象も残らないのでは書きようがない。違和感といえば全員が嘘くさく見えたことくらいだが、SNSなど見ているとそんな風に感じる人は少数派のようだし、そんなことを書いたら「お前が色眼鏡をかけているせいだ」と言われそうである。おっと書いてしまった。

右と左の線対称

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筆者

小池みき

小池みき(こいけ・みき) フリーライター・漫画家

1987年生まれ。愛知県出身。2013年より書籍ライター・編集者としての活動を開始。『百合のリアル』『残念な政治家を選ばない技術—選挙リテラシー入門』など、新書を中心に書籍の企画・構成に関わる。エッセイコミックの著書に『同居人の美少女がレズビアンだった件』『家族が片づけられない』がある。