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喜界島に生まれて(6)まさか…ウガンダで熱病に

激しい腹痛、極度の寒気。同居人のクリスは「マラリアの可能性が高い」と言った…

住岡尚紀 明治学院大学生

 極度の寒気、めまい、頭痛で目が醒めたのは、数時間後のことだ。

「ク、グレス、グラス……」

 震えで、ろれつが回らない。クリスが目を覚ましたのは午前4時ごろだったようだ。彼に毛布と一杯のお水を貰い、一旦寒気は治まった。

「マラリアの可能性が高い」

 クリスが言った。僕は知らない間に蚊に刺されていたのかもしれない。

 クリスも国連事務所で働いている。彼はすぐに上司に連絡したほうがよいと言ったが、とりあえず様子をみることになった。

 しばらくして再び寒気が襲う。これまで経験したことのない寒気だ。

 クリスはすぐさま救急車を呼びに最寄りの病院へ走った。

 呼吸が浅くなる。息が苦しくなる。お水が欲しい。だけど、誰も居ない。

 顎からガクガクと震え、言葉が出ない。意識が朦朧としていて、何を言ったか覚えていない。その間にも、だんだんと意識が遠のいていく。体が燃えるようだ。

 必死にもがくが、体全体から心臓の音、喉を伝う唾の音が脳内に響き、体がいうことを聞かない。全身から汗が吹き出し、息が出来ない。

 一秒一秒が永遠のように感じた。気付くと、大声で叫んでいる。

 「死にたくない!! やだー!!」

 クリスが戻るまで数十分間、僕の頭の中にはなぜかZARDの「負けないで」がリピートされていた。

(あと少しって、あと何分だよ……)

 ときに叫び、ときに歌う。その繰り返しだ。

 クリスが誰かを連れて戻ってきたのは午前7時過ぎだったようだ。

「へい! スミ! ARE YOU OK?」
「……」

 クリスの声は聞こえたが、僕がなんと答えたかは覚えていない。意識が朦朧としていく。だが、次の言葉は頭に入った。

「この家までの道のりが険しすぎて、救急車は入れないんだ。病院へ歩いていかなければならない」

 歩く――。この時の僕には厳しすぎた。

拡大筆者が暮らしていた自宅の近くの道路。救急車は自宅近くまで入ることができなかった

命を落とす原因は病気だけではない

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筆者

住岡尚紀

住岡尚紀(すみおか・なおき) 明治学院大学生

1995年喜界島生まれ。鹿児島県立喜界高校を卒業後、明治学院大学に入学。2015年に国連ユースボランティアでウガンダ共和国のUNDPに派遣。2016年、内閣府次世代グローバル事業世界青年の船に参加。バイトを4つ掛け持ちしながら俳優業にも挑戦中。中高の社会科と英語科の免許取得を目指し在学中。将来の夢は「島と世界を繋ぐジャーナリスト」。

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